●VPLSの採用でスイッチを省き、10Gモジュールのコストを抑えた帯域増強を実現
●論理ルーターでVPLS専用の仮想網を構築し、運用の手間を軽減

急増が続くトラフィックをさばき切れるネットワークを目指して、ヤフーは2008年8月、データセンター(DC)間をつなぐネットワークを刷新した。特徴は、「VPLS」「論理ルーター」という技術を使った点だ。どちらも、これから普及する最新の技術。ヤフーはこれらを意欲的に導入し、問題解決に生かした。
VPLSでDC間接続スイッチを排除
インフラ更改のきっかけは、2007年のトラフィックの急増だった。大きな画像や動画を多用したリッチなネット広告が増えたことが直接の要因である。これに伴い、DC間の帯域を大幅に増強する必要に迫られた。膨大なトラフィックをさばくために、ルーターをパケット転送能力の高いものに入れ替えなければならなかった。
同社は、東日本エリアと西日本エリアのそれぞれに中心となるDCを置き、そこに各地のDCをつなぎ込んでいる。東日本エリアと西日本エリアは別のASとして運用しており、それぞれで外部のインターネット接続事業者(ISP)などとピアリングしている(図1)。
それまで、DC間の帯域は最大でも10Gビット/秒で済んでいた。ところがトラフィックの急増により、10Gビット/秒では不足することが分かった。差し当たり20Gビット/秒まで増強するために、パケット転送能力が高いルーターへのリプレースを検討した。