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CCDカメラでスリーブと商品本体の番号を撮影し、照合する
CCDカメラでスリーブと商品本体の番号を撮影し、照合する
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1分間に60枚のペースでDVD読み取り面の傷の有無をチェックする
1分間に60枚のペースでDVD読み取り面の傷の有無をチェックする
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 カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)が展開するDVDやCDのインターネットレンタルサービス「TSUTAYA DISCAS」は、サービス拡充によって約106万人の会員顧客の囲い込みを強化している。定額使用料を支払う会員の退会率は、2010年11月時点で2009年3月と比較して2割減少した。2010年度の方針に「顧客の不満解消」を掲げ、利便性の向上に努めてきた成果が表れた。

 不満解消への取り組みはまず、顧客の要望に応えた商品提供だ。DISCASの会員はサイト上に借りたいDVDやCDのリストを作成する。この中で優先順位が高く、かつ在庫があるものが2枚ずつ郵送される仕組みだ。上位に指定した商品の在庫が無ければ、下位の商品が送られてくるが、これに不満を感じる顧客が多かった。そこで人気商品の枚数を増やすことなどで、1位に指定した商品が送られてくる確率を8割以上に高めた。

 もう1つの取り組みは、借り方のバリエーションを増やしたことだ。DISCASでは、借りているDVDやCDを返却すると、次の商品が送られてくる。従来は2枚1組での返却、配送が原則で、例えば最も一般的な「定額レンタル8」の場合、2枚ずつ月に4回まで借りることができた。2枚を返却して、次に送られてくるまでの間は会員の手元には何も残らないことになる。

 これに対し、2010年12月に導入した「プレミアムサービス」では、1枚ずつの返却、配送が可能になった。会員は1枚のDVDを見て返却すると、もう1枚を見ている間に次の1枚が送られてくる。「1枚ずつ送ってほしいという会員の要望は以前からあったが、これまでは郵送コストがかさむため実現できなかった」と根本浩史ネット事業本部TSUTAYA DISCASユニット長は説明する。定額レンタル8の場合、月額利用料1958円には郵送料も含まれている。1回の配送に80円かかるとすると、1枚ずつ返却、配送する場合には、2枚ずつの場合と比較して、640円余計にかかる。

 しかし定額レンタル8のプレミアムサービスでは、390円の料金アップで1枚ずつ配送できるように月額利用料を抑えた。これを可能にしたのが、物流業務の合理化によるコスト削減だ。東西2カ所の物流センターのシステムを刷新し、2010年9月から稼働している。

物流センターの人手を3分の1に削減

 DISCASの物流センターでの業務は、(1)顧客が返却したDVDやCDの受け入れや検品、(2)顧客の注文に応じた商品のピッキング、(3)ピッキングした商品の出荷、の3種類に分けられる。これまで(3)の出荷業務では機械化が進み、DVDやCDを封入して発送する作業のほとんどを自動化していた。一方で(1)の受け入れや(2)のピッキング作業は人手に頼っていた。

 2010年の物流システム刷新では(1)の業務をほぼ自動化した。顧客が返却した商品を物流センターで受け入れると、DVDやCDが入っているケース(スリーブ)に記載された商品番号と、実際に中に入っている商品に相違がないかを確認する。2枚一緒に顧客に届けているため、返却時に顧客が違うスリーブに商品を入れてしまう「テレコ」と呼ばれるミスが起こりがちだったからだ。これに気づかないと、間違ったまま返却在庫として登録され、次の配送時に顧客の注文と異なる商品が配送されてしまう。従来はこれを防ぐため、目視で入念にチェックしていたが、新システムではカメラでスリーブと商品本体の番号を撮影して一瞬で突き合わせる(写真1)。

 この照合が終わると、商品に傷がないかも確認する。これも従来は目視で確認し、傷があった場合には研磨工程に回していたものを、新システムでは自動化した。カメラで傷の有無を確認し、大きさに応じて研磨工程に回すといった判断をシステムで自動的に行う。1分間に60枚のペースで確認できるようになった(写真2)。

 ピッキング工程は従来と変わらないが、商品受け入れの自動化により、物流センターの従業員数は従来の3分の1程度に抑えられたという。CCCはプレミアムサービスの利用者数を明らかにしていないが、顧客の1割程度を同サービスに移行させたい考えだ。他社にないサービスの拡充で、価格競争が激化するネットレンタル市場でトップの座を守る。