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写真●アカデミーの参加者は録音された会話を聞いて、グループで話し合う
写真●アカデミーの参加者は録音された会話を聞いて、グループで話し合う
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 アメリカン・エキスプレス・インターナショナル(東京都杉並区)は、社会貢献活動の1つとして2011年8月20日から22日までの3日間、貧困者支援や環境保護などの事業に携わる社会起業家に向けた「アメリカン・エキスプレス・サービス・アカデミー」を開催した。同社の顧客対応窓口に寄せられた顧客の肉声などを公開するプログラムも導入し、会話のニュアンスから顧客の要望を察する高度なサービスを体感させた。

 アメリカン・エキスプレスは2009年から、NPO(特定非営利法人)のリーダーや若手起業家の育成を目的に、「アメリカン・エキスプレス・アカデミー」を日本で開催してきた。従来は「リーダーシップ」に関するプログラムを提供してきたが、今回初めて「サービス」をテーマに掲げた。社会起業家が顧客や社会のニーズに対する理解を深め、より優れたサービスを開発、提供することで事業価値を高められるように支援する。NPO法人エティック(東京都渋谷区)との共催で、29人の社会起業家が参加した。

 3日間の研修では、著名な社会起業家や識者らの講演やグループワークに加え、アメリカン・エキスプレスの顧客対応窓口に寄せられた顧客の肉声を聞いて、適切な対応を考えるワークショップも開いた。「カードを破損したので、新しいものを送ってほしい」と依頼してきた顧客とオペレーターの対話を録音したものを、顧客の個人情報を削除したうえで公開した。

 要望は単純に見えるが、その顧客は要件を告げた後も「アメックスの会員になって10年以上たつ」「出張などで旅行する機会が多い」などの情報を小出しにしながら会話を続けた。オペレーターはその顧客の利用履歴をチェックしながら「ポイントがたまっているので飛行機利用時のアップグレードに利用しませんか」「景品と引き換えるためのカタログをお送りします」といった申し出をするが、話はなかなかうまくかみ合わない。明確なクレームではないだけに、臨機応変の対応力が問われる。

 参加者は5~6人のグループに分かれて、「このオペレーターの対応は適切だったか」「どのように対応すれば顧客のロイヤルティーをより高められたか」という視点で討議し、発表する。「マニュアル的な対応はできているがそれを超えていない」「顧客が話を続けている間に、オペレーターが言葉をかぶせてしまって、十分に聞けていない」「『10年以上使っている』という顧客の言葉に『それは私が小学生の頃ですね』といった反応をすれば、顧客とのパーソナルな関係作りにつながったのではないか」といった意見が出た。正解は無く、様々な視点の意見を聞くことで自らの考えを深めさせるためのセッションだ。

 

 アメリカン・エキスプレスでは、対応窓口での生の声を聞かせることで、顧客サービスの難しさを実感する効果があったとみている。同社では普段から、顧客対応窓口での優れた対応を顧客の個人情報を省いた形で録音し、オペレーターだけでなく、全ての社員が聞けるようにしている。一般企業が顧客サービス向上のために取り組んでいる地道な努力を伝えることで、ともすればビジョンや理念が先行しがちな社会起業家の意識変革を促した。