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「サイクルナビ」の画面を示すエ-ザイ・イースト・アジア・リ-ジョン事業戦略部統合戦略室の開發寛担当課長
「サイクルナビ」の画面を示すエ-ザイ・イースト・アジア・リ-ジョン事業戦略部統合戦略室の開發寛担当課長
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 エーザイは2011年2月に1400人のMR(医薬情報担当者)に米アップルのタブレット端末「iPad」を配布した。MRが医師から患者の病状や治療歴などの情報を聞き取り、リアルタイムで本社の安全管理部に送る。それを受けて安全管理部は、投薬の安全性などをMRにアドバイスする。医師の治療方針策定を支援し、信頼関係を構築することを狙う。

 iPadでは商品資料のダウンロードや薬剤の扱い方を解説する動画、メールの送受信など6つの機能を利用できる。製薬業界ではiPadをMRに大量導入する動きが高まっている。その中でも、エーザイの取り組みが画期的なのは「サイクルナビ」と呼ぶ患者情報の入力アプリを使っていることだ。MRが医師と面談する際に、サイクルナビの数十個の情報項目に沿って、今後抗がん剤などの薬剤を投与する予定の患者の体型や病状、治療歴などの情報を聞き取り、データを本社に送信する。これを受けて、安全管理部など本社の専門部署が即座にデータを確認し、その症例に適した薬の情報や、医師が治療方針を決定するうえで参考になる文献などを、電話やメールでMRにフィードバックする。

 抗がん剤などの薬剤は、患者一人ひとりの病状や過去の治療歴に応じて、薬の種類だけでなく、量や頻度を細かく調整する“さじ加減”が難しい。同社ではMR全員を製品情報の提供にとどまらず、「薬物治療アドバイザー」としての役割を高めるため、MRの教育に力を入れてきた。副作用情報などの知見を蓄積した本社部門がリアルタイムで患者の情報を共有し、遠隔でMRの業務を支援するツールとしてiPadを選択した。「起動が速いうえに、画面表示が見やすく医師との限られた面談時間でも情報を共有できる点などを評価した」と、システムを企画したエ-ザイ・イースト・アジア・リ-ジョン事業戦略部統合戦略室の開發寛担当課長は話す。

 システムの企画に当たっては、MRや安全管理部、調査を担当する育薬企画部などと共同で仕様を検討した。現在も現場の意見を反映して情報収集項目を見直しているという。