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Facebook版「シネマズ BY SHOCHIKU」の画面。英語や中国語など20言語で映画に関する質問ができる
Facebook版「シネマズ BY SHOCHIKU」の画面。英語や中国語など20言語で映画に関する質問ができる
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 松竹は2011年9月から、ソーシャルメディアを活用して海外の映画ファンを掘り起こす新サービスを始めた。サービスの名称は「シネマズ BY SHOCHIKU」で、ウェブサイトに加え、全世界に5億人以上の会員がいるFacebook(フェイスブック)の「Facebookページ」、ツイッターやmixi(ミクシィ)をプラットフォームとして展開している。Facebook版(画面)ではこれまでに1500人の会員を獲得した。

 シネマズ BY SHOCHIKUの裏側では、ネットコミュニティー運営のオウケイウェイヴ(OKWave)が開発した多言語対応のQ&Aコミュニケーションシステム「ARIGATO(アリガトウ)」が稼働している。ARIGATOは日本語、英語、フランス語、トルコ語など20言語に対応しており、参加者同士が質問したり、回答したりしながら交流できる仕組み。日本語で質問をすると、自動翻訳や他のユーザーによる翻訳で多言語に翻訳され、それに対して寄せられた回答もまた日本語に翻訳される。

「遺品整理人は中国にもいる?」

 例えば、「日本の『アントキノイノチ』という映画は遺品整理人をテーマにしているようだが、日本以外でも遺品整理人という仕事はあるのか」という日本人が書き込んだ質問は、第三者によって中国語に翻訳され、中国人から「中国では聞いたことがない」という回答が寄せられている。10月下旬までに200件程度こうしたやり取りが行われている。

 新サービスには2つの狙いがある。1つ目は、映画館やDVDなどで日本の映画作品を視聴した人に長くファン意識を持ってもらうことだ。松竹はこれまで映画作品ごとにウェブサイトやツイッターアカウント、Facebookページなどの解説を通じて、映画の告知と口コミ促進に努めてきた。

 だが、松竹経営情報企画部経営企画室の小林敬宜氏は、「当社は作品上映前後には集中して販促するが、上映が終わるとお客様との関係が切れてしまいがちだった。ソーシャルメディアを活用してここを補い、映画ファンを増やしたい」と説明する。利用者が自発的にシネマズ BY SHOCHIKUや個別作品のFacebookページに登録すれば、松竹はDVD化や関連イベント、続編の告知などを継続的に行える。

 もう1つの狙いは、海外市場の掘り起こしにある。「国内の映画市場はここ数年、2000億円前後で停滞している。海外市場も見据える必要があるが、ハリウッド映画のような派手な販促はできない。そこでネットを使う」(小林氏)。松竹は映画祭出展など地道な活動を継続しており、『おくりびと』が2009年にアカデミー賞外国語映画賞を受賞するなど成果も出している。ソーシャルメディアの活用によって、海外の潜在的な日本映画ファンに働きかける。外国人の会員は数十人に留まっており、日本人会員との対話を促すなど海外のファンを呼び込む仕掛け作りが課題となりそうだ。