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写真1●作業員の「短冊」が刈谷工場内の一角に集まる。進ちょく状況なども開示し、作業員の士気向上につなげている
写真1●作業員の「短冊」が刈谷工場内の一角に集まる。進ちょく状況なども開示し、作業員の士気向上につなげている
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写真2●ジェイテクトの服部隆司刈谷工場工場長
写真2●ジェイテクトの服部隆司刈谷工場工場長
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 工作機械などを生産するジェイテクトの刈谷工場(愛知県刈谷市、従業員800人)がボトムアップで改善活動を進めている。作業員が現場に潜む無駄を「短冊」と呼ばれる小さな用紙に記入し、採用されれば、管理者と一緒に実行計画を練る(写真1)。その後も進ちょく具合を逐次管理する。すでに機械部門では、2011年上半期で生産性を4.2%高めた。

 「作業員の提案が確実に成果となって表れるので、現場の士気向上につながっている」。ジェイテクトの服部隆司刈谷工場工場長は短冊の成果をこう話す(写真2)。

 現場から集まる短冊は年800枚ほど。最近の採用例は、テーブルの側面からしか取り付けられなかったボルトの形状変更。これによりテーブルの上部から隙間を通して、ボルトを差し込めるようになり、楽な姿勢で取り付けられることで、作業のスピードが上がった。月7.5時間の段取り時間の短縮につながっており、金額に換算すれば、年間27万円の削減効果という。。

 ジェイテクトが短冊を採用したのは、作業員一人ひとりの積極性を高めて、ボトムアップの改善を徹底するため。短冊がない頃は、作業員をまとめるグループリーダーが音頭取りとなり、提案のまとめから実施まで仕事が集中して、負担がかかりがちだった。短冊を使うことで、各自の参加意識を高め、紙に書いて率直な意見をそのまま提案できる。また提案情報も大勢で共有しやすくなった。

 短冊による提案は、採用するかどうかをグループリーダーらが話し合い、採用が決まれば細かく実施計画を立てる。導入後は、毎週木曜日に開く「改善フォロー会」で議論する。管理者が集まり、進ちょく具合や効果測定などを担う。こうした全員参加型の運営が職場に新風を吹き込んでいる。

 ジェイテクトの2011年3月期の売上高は9554億7000万円と、1兆円を超えていたリーマン・ショック前の業績と比べると8割程度にとどまる。それに伴い人員削減も行った。厳しい環境の中で、生産の効率化と従業員のモチベーション向上を両立するという課題を抱えている。だからこそ「地道な改善活動の積み重ねが欠かせない」(工作機械・メカトロ事業本部事業企画部の深江洋志部長)。小さな短冊が、いずれ工場に大きな改革をもたらすかもしれない。