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クリナップの田中仁執行役員生産本部副本部長兼経理担当
クリナップの田中仁執行役員生産本部副本部長兼経理担当
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 住設機器大手であるクリナップは11月11日、震災などの非常時を想定し、サプライチェーンを強化する方向性を固めた。岡山工場(岡山県勝央町)の生産能力を増強するなどして、福島県いわき市にある主力工場の生産が完全に停止しても平常時の7割の量を生産できる体制を整備する。田中仁執行役員生産本部副本部長兼経理担当は「2013年度中までに生産と物流調達の新体制を整備することを目指している」と語る。

 クリナップは3月の東日本大震災で大きな被害に見舞われた。同社は主力商品であるシステムキッチンと、その部品の生産の大半をいわき市内に工場に集中させていた。これが災いし、震災発生後の1カ月間は受注停止に追い込まれた。4月18日には出荷再開にこぎ着けたものの、事業の継続性を考慮すればサプライチェーンの見直しが欠かせないと判断した。

 見直しの検討を重ねる間に、同社は岡山工場の生産能力を引き上げた。6月に発売したシステムキッチン「クリンレディ」の引き合いが好調なためだ。「クリンレディについては、いわきと同水準の生産能力を持たせた」(田中執行役員)。

 今後は他の売れ筋のシステムキッチンも岡山工場で生産する割合を増やす。現状ではいわきと岡山の生産割合は3:1だが、6.5:3.5程度とする。岡山で2直体制を敷いてフル生産すれば、仮にいわきの生産が全て停止しても7割の生産を確保できるという計算である。7割を目安にしたのは、「被災した拠点が確実に復旧できるまで、岡山で7割の稼働を保てば、半年は会社の運転資金を確保できるという計算から定めた」と田中執行役員は説明する。

西日本での部品調達が課題に

 岡山工場の増強に伴う部品調達や物流網の整備などのサプライチェーン強化策のため、クリナップは今後3~4年、毎年11億円以上の設備投資を続けていく意向である。これには新製品用ラインの立ち上げ費用も含まれるが、同社の2011年3月期の設備投資費が7億9000万円であるのと比べると、積極的な投資姿勢がうかがえる。

 今後の大きな課題は、岡山工場向けの新たな部品調達ルートの確保である。いわきの工場で大部分を生産してきたこともあり、部品を調達する取引先も東日本に拠点を置く企業が大半だった。田中執行役員は「調達の幅が広がると前向きにとらえ、西日本の企業などを開拓していきたい」と力を込める。