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「ドライゼロ」のブランドマネジャーを務めるマーケティング本部マーケティング第一部の西村壮一郎担当課長
「ドライゼロ」のブランドマネジャーを務めるマーケティング本部マーケティング第一部の西村壮一郎担当課長
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 2012年2月にアサヒビールが発売したビールテイスト清涼飲料(ノンアルコールビール)「アサヒドライゼロ」の売れ行きが好調だ。4月10日に累計販売箱数100万箱に達し、2012年12月までの販売目標を当初計画の300万箱から、約3割増となる400万箱に上方修正した。同製品の開発に当たっては徹底した顧客調査を実施。ニーズの抽出から試作品の絞り込み、パッケージの選定などに顧客の意見を反映した。マーケティング担当者らはBI(ビジネスインテリジェンス)ツールを活用してそれらの意見を分析した。

 ドライゼロの開発が本格化したのは、2011年春のこと。アサヒビールは2010年7月からアルコールとカロリーをゼロにした「ダブルゼロ」を販売していたが、キリンビールの「キリンフリー」やサントリーの「オールフリー」の後塵を拝していた。さらに2011年3月の東日本大震災で福島工場からの供給がストップしたため、ノンアルコールビール市場でのシェアは2~3%と「一人負けになっていた」とブランドマネジャーを務めるマーケティング本部マーケティング第一部の西村壮一郎担当課長は振り返る。

 挽回を期して着手した新商品開発では、まずのべ5000人以上の顧客を対象にしたウェブ調査とグループインタビューを敢行。顧客がノンアルコールビールに求める要素を検証し、「ビールの味に近い」ことを求めるニーズが強いことを突き止めた。ダブルゼロは機能性を重視してカロリーゼロを打ち出したが、「顧客は機能より味を重視する」と判断。味に絞り込んでドライゼロの開発をスタートさせた。

2つの開発チームに競わせる

 研究開発センター(茨城県守谷市)では2チームが平行して開発に取り組んだ。1つはビール開発部、もう1つはチューハイなどビール以外のアルコール飲料を開発する総合酒類開発部だ。前者はビールと同様麦汁を使い、後者は麦汁を使わずにそれぞれビールの味に近づけるための研究を重ねた。2011年9月にそれぞれの試作品を約400人の顧客モニターに評価してもらい、どちらを採用するか決めた。「開発チームを複数設け、顧客調査で採用を決めたのは同社では初めての試み」と西村課長は話す。

 この結果、麦汁を使わない試作品に「後味がよりすっきりしている」という高評価が集まった。中身の開発と並行して、パッケージも2チームで開発。こちらも顧客調査の結果で採用を決めた。スーパードライのイメージを踏襲したパッケージは発売前に「誤飲を誘発する」と他社からクレームが入ったが、「ノンアルコール」を赤字で表示するなどして対応した。

 顧客調査のデータは、西村氏らマーケティング担当者が自ら分析した。同社では3年前にマーケティング本部の組織改革を行い、データ解析機能を強化している。日本IBMのBI(ビジネスインテリジェンス)ツール「SPSS Statistics」を導入して、最初の顧客調査のデータを様々な切り口で分析した。ノンアルコールビールを飲む顧客の9割が週に1度以上ビールを飲んでいるといったデータから、「ビールを飲まない層」の開拓ではなく、ビール愛飲者がアルコールとノンアルコールを使い分けるシーンを研究した。

 一方で、ビール開発部や総合酒類開発部などの開発部門もマーケティング本部の管轄にし、顧客の声を開発工程に迅速に反映できる体制を整えている。マーケティングと研究開発の連携を強化し、商品開発力を一層高めていく。