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●「ベルキャスト」と呼ばれるスタッフが食材や日用品を届ける
●「ベルキャスト」と呼ばれるスタッフが食材や日用品を届ける
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 東京急行電鉄は6月1日から東急沿線の東京都内や横浜市など17市区のエリアで、あらゆる商品やサービスを扱う“御用聞き”となる「東急ベル」を始める。自宅にいる顧客に「ベルキャスト」と呼ばれるスタッフが食材や日用品を届けるほか、暮らし全般に関わるサービスを提供する。要望を聞いたり、取り扱い商品の情報を伝えたりして顧客との関係を深め、需要を掘り起こす。ベルキャストが携帯するタブレット端末やインターネット、コールセンターなどを通じ、東急グループ各社やほかの事業者と協力して商品やサービスを提供する。

 同社グループではこれまで、スーパーの東急ストアが楽天と組んでインターネットで注文を受けた食品などを届ける「東急ストアネットスーパー」を展開してきた。ただ宅配業者に配送を任せるだけでは、顧客との接点が築きにくかった。

 東急沿線には山を切り開いて開発した土地もあり坂道が多く、買い物に出かけられない高齢の“買い物弱者”や、働いていて買い物をする時間の余裕がない若年層も多い。そこで同社は2011年10月から2012年3月まで横浜市青葉区で、実験的に東急ストアのネットスーパーの商材を直接届けて、顧客とどこまで関係が深められるか実証を行った。

 すると顧客とコミュニケーションが深まるほど売り上げが伸びただけでなく、商品への要望を受けたほか、グループが扱うケーブルテレビや東急百貨店の外商などへの需要の掘り起こしにもつながった。中には沿線に長く住む市・区民から「長年、グループ企業とつきあいがあるのに、直接自宅に訪ねてくるサービスがなかった」と不満も出て、その必要性を感じたという。

 東急ベルは楽天などと同様に会員制。サービス開始当初は東急ストア店舗と楽天で担っていたネットスーパーを自前に切り替え、2012年度内にポータルサイトを構築。センター倉庫を用意して、東急田園都市線や東横線、東京都世田谷区や大田区などの沿線にエリアを拡大する計画。サービス開始の開発投資として、グループのクレジットカード会社である東急カードのポイント付与など既存サービスとの接続のほか、電子商取引や倉庫管理などのシステム構築に億円単位を費やしたという。

 直接顧客を訪ねるベルキャストや細かな要望に対応するベルの後方スタッフは契約や委託も含めグループ内のホテルや百貨店と同じ接客研修を受けている。当初は20~30人規模だが、センター倉庫の稼働によって数百人規模に増やす。グループの百貨店や不動産サービス会社との連携や、2012年4月にオープンした複合商業施設「ヒカリエ」などショッピングモール店舗の商品やサービスも対象にする予定という。

 小売り企業の個別宅配サービスとしては阪急・阪神百貨店のエイチ・ツー・オーリテイリングの子会社が展開する「阪急キッチンエール」が関西を皮切りに、2011年10月に首都圏エリアにも進出。全エリアでの会員数は2012年3月末で7万4000人という。