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ウェブ会議システム経由でBCが直接スキンケア法などを指南
ウェブ会議システム経由でBCが直接スキンケア法などを指南
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 資生堂が2012年4月21日にオープンした総合美容サービスの新サイト「ワタシプラス(watashi+)が若年層に徐々に浸透している。会員数は非公開だが、これまでの会員登録者(会費は無料)の半数は10~30代が占め、同社の課題だった若年層の開拓につながっている。ウェブ会議システムを使った美容部員による美容レッスンをはじめ、店舗と同等の内容のカウンセリング・サービスを提供して、顧客ニーズに応える。

 資生堂は百貨店や量販店、化粧品専門店など全国約3万弱の拠点で、「ビューティーコンサルタント(BC)」と呼ぶ美容部員が、顧客の相談に乗りながら商品を勧めるカウンセリング販売を主力事業としている。ワタシプラスは、対面のカウンセリングと同等のサービスをネット上で提供し、顧客がいつでもどこでもスキンケアやメークに関する情報を活用できるようにする。具体的には、会員が簡単な質問に答えながら自分の肌タイプや自分に合ったスキンケアやメーク商品を知る「ビューティーチェック」、ネットでBCと直接コミュニケーションを取り、肌の悩みを相談したり手入れ方法やメークを学んだりする「Web BCカウンセリング」などのメニューで構成される。

セルフ好き」の若い顧客を引き付ける

 なかでもキラーコンテンツとして、登録者の半数以上が利用しているのが、Web BCカウンセリングだ。ウェブ会議システムを使った「Webビューティーレッスン」と、テキストを打ち込んで対話する「チャットで相談」の2つのメニューがある。前者では、ワタシプラスの画面からレッスンを予約すると、予約時刻にウェブ会議システムが立ち上がり、BCと直接対話ができる。資料などを共有して分かりやすく説明を受けることも可能だ。

 Web BCカウンセリングの利用者は10~30代の割合が高くなっている。ワタシプラスの企画からかかわった国内化粧品事業部の薗田守世Web事業推進部長は、若い会員によく利用されている理由について、「パソコンのリテラシーなど、様々な要因を今後分析していかなくてはいけないが」と前置きしたうえで、「従来はカウンセリング販売を利用していなかった顧客に、ウェブカウンセリングが受け入れられているようだ」と話す。

 店舗のカウンセリング販売では、BCから丁寧な説明やメーキャップサービスなどが受けられる。その半面、百貨店などのカウンターでは多くの買い物客が行き来するなか、カウンターに座り込むことに気恥ずかしさを感じたり、混雑している時は順番を待たなくてはいけなかったりする。さらには「話を聞いたからには買わなくてはいけない」というプレッシャーも感じがちだ。これを嫌って近年は、カウンセリングサービスが無い「セルフ」商品をドラッグストアなどで購入する顧客が若年層を中心に増えているという。

 しかし対面のコミュニケーションは苦手でも、マッサージのやり方やメーク法などを専門家に聞きたいというニーズはある。顧客にとっては、対面販売のデメリットを回避しつつ、プロから直接アドバイスを受けられる接点となりそうだ。

 ウェブ会議システムは近年日本企業に急速に浸透しているが、出張コストの削減や、災害時の緊急連絡などの用途が多く、顧客とのコミュニケーションに活用する事例はまだ多くない。資生堂はNTTアイティ(横浜市)が提供するクラウドサービス「ミーティングプラザ」を採用している。

販売店との共存共栄を目指す

 資生堂はワタシプラスのオープンと同時に、直販のオンラインショップも稼働。カウンセリングから購入までワンストップでできる環境を整えた。さらにオンラインショップと販売店が“共存共栄”するための様々な仕組みを盛り込む。

 その1つが「お店ナビ」。Web BCカウンセリングなどで勧められた商品を購入できる店舗に、会員を誘導するサービスだ。販売店が取り扱いブランドや店舗の写真、エステや眉メークレッスンなど店舗で受けられるサービスを登録しておくと、お店ナビの検索対象となる。「ワタシプラスの企画が立ち上がった2年前から、全国の取引先と時間をかけて対話し、お店ナビの構想を説明してきた。現時点ではかなりの数の販売店がお店ナビに情報を登録している」と薗田部長は話す。また高級ラインの「クレ・ド・ポー」など、カウンセリングの重要度が高い一部のブランドは、オンラインショップで販売せず、店舗を紹介している。

 これに加えて、リアル店舗とオンラインショップの双方でポイントを貯められる「ワタシプラスポイントプログラム」も導入した。貯まったポイントは、資生堂のコラボレーションサイトである「Beauty & Co.」などで商品やサービスと引き換えられる。ポイントの原資は資生堂が負担する。

 資生堂は今後、ワタシプラスで取得した購買行動や顧客の嗜好に関するデータを、お店ナビに参加する販売店にフィードバックしていく予定だ。年齢や居住地域など分類別の傾向のほか、店舗とウェブの使い分けなどを分析した情報を、顧客の個人情報を抜いて販売店と共有する。

開発は野村総研が担当

様々な機能を盛り込んだ大規模サイトの開発は、野村総合研究所が統括した。ビューティーチェックやウェブカウンセリングで使った技術には、特許を出願したものも多いという。目標会員数は明らかにしていないが、数百万人規模を想定していると見られる。業界最大手が挑むネット戦略に注目が集まる。