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写真●楽天の三木谷浩史会長兼社長
写真●楽天の三木谷浩史会長兼社長
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 楽天は2012年7月1日から、かねてから公言していた英語公用語化を本格運用に切り替えた。既に社内会議の8割は英語で行っている。楽天の三木谷浩史会長兼社長は2012年6月29日に都内で会見を開き、「英語を話すことを恐れないレベルに多くの社員が達している」と自ら英語で語った(写真)。

 狙いは各国のベストプラクティスを世界のグループ企業で共有するためだ。電子書籍事業を手掛けるカナダのコボを買収したり、新卒採用の3割を外国人にしたりと、社内のグローバル化は急速に進んでいる。そんななかで日本語中心のコミュニケーションを続ければ、各国のベストプラクティスを共有できなかったり、業務をきちんと引き継げなかったりして、事業拡大の障害になりかねない。「(国内外の拠点で働く)彼ら彼女らが孤立することは避けたかった」と三木谷社長は話す。

3000人の前で足が震える

 そのために楽天は2010年春から、準備を進めてきた。例えば、毎週開く「ASAKAI(朝会)」を英語で進めたり、現場に計80人の英語化推進リーダーを置いたりといった具合だ。部署ごとのTOEICの平均点を公開するなど、ゲーム性も取り入れた。それらが実り、今では社員のTOEICの平均スコアは約700点と、1年半で160点近く伸びた。

 三木谷社長はプロジェクトを加速させるために「最も重要なプロジェクトに英語公用語化を位置付けた」と明かす。英語が得意な三木谷社長は社員に手本を示そうと自ら中国語の習得に励むなど、自身にも課題を課している。

 米ハーバード大学でMBA(経営学修士)を取得するなど海外での経験が豊富な三木谷社長も英語で苦労した経験があるという。3000人を前に話す海外のカンファレンスでは「初めは足が震える思いだった」。社員にはこうした自身の経験も踏まえて、失敗を恐れない姿勢を説く。

 三木谷社長は会見で「楽天では英語ができることはメリットにならない。必須になっている」と話した。究極のゴールは「グローバル化した楽天が世界で成功を収めること。日本人の意識が変わり、日本の英語教育が変わること。そうして日本人の競争力が上がり、日本が繁栄すること」と自身の著書「たかが英語!」(講談社)で記している。楽天はその1歩を踏み出した。