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●保証延長の申し込み画面のサンプル
●保証延長の申し込み画面のサンプル
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 家電製品や自動車などの延長保証サービスを請け負っているテックマークジャパン(東京・墨田)は、メーカーなどの顧客企業が消費者に提供する延長保証の申し込み手続きをクラウド化した。従来の紙ベースと比べて、1件当たり900円ほどのコストを300円程度に削減できると見込んでいる。

 延長保証とは、メーカー保証期間の終了後に一定の期間に発生した製品の自然故障や不具合の修理を無償で行うサービス。メーカーや販売会社の中には、自ら保証料を受け取って保証したり、保険会社が提供する保険に加入して修理費をまかなっていたりするところもある。

 米保険大手であるAIGグループのテックマークは、1994年に国内で初めて延長保証サービスを開始。顧客企業は家電量販店や自動車メーカー、不動産会社など幅広い業種に及ぶ。

 

 テックマークは、メーカーや販売会社から延長保証を請け負って、保険会社が把握しきれない1件1件の故障や修理を査定。故障原因に応じて部品交換が必要か、修理費用を支払う必要があるかなどを細かく切り分けて、トータルの修理費用を削減。最終的に保険会社の保険に加入して、修理費用は100%賄っている。

 ある量販店は、保険会社が提供する延長保証保険に直接加入して修理費用を払っていた。ところが延長保証は自動車や火災保険などが対象とする事故よりも細かな事故が多く、請求があれば事実上、費用をほぼすべて負担していた。そのため保険料よりも修理費用が上回る事態となり、サービス存続のためにテックマークに協力を求めてきたこともあったという。

顧客企業ごとに異なる情報に柔軟に対応

 テックマークの延長保証の申し込みはこれまで、紙の契約書で手続きしてきた。顧客企業に対象製品や保証期間、顧客情報を記入してもらって、チェックしていた。しかし書類の不備が全体の18%に上り、遅延も発生。顧客企業からウェブ化の要望が寄せられていた。

 ところが、申込書の記入内容は顧客企業によって異なり、住所と氏名のほか、自動車の車種や型式といった情報も必要になる顧客企業もある。あらゆる情報に対応できるよう柔軟にカスタマイズができる仕組みが必要である一方で、個人情報を取り扱うためセキュリティーの高さも求められる。

 当初は自前でサーバーを構築した場合、システム開発やハードウエア購入に6000万円程度かかると試算していた。だが延長保証は、契約単価が小さい薄利多売。例えばテレビの延長保証料は製品価格の5%程度で、巨額のシステム投資には踏み切れない。しかも全社員が20数人のテックマークでは、常時稼働するサーバーを自社で管理するのは難しいと判断した。

 そこでパイプドビッツのクラウド型プラットフォーム「スパイラル」を利用。システム開発や月々の利用料、維持費などを合わせても、当初見込みより大幅に削減できたという。

 クラウド化した延長保証の申し込みのシステムは、2012年8月から本格的に稼働。利用顧客の1つが三井不動産リアルティ(東京・千代田区)。販売している中古マンションに備え付けているエアコンなどの設備機器は、中古商品のため通常、保障期間は7日間しかない。そのためテックマークの延長保証を付けて販売している。

 対象は全国のマンションであるため、マンションの引き渡し後すぐ修理が必要になる場合も想定すると、迅速な契約には紙ベースではなくウェブ化が不可欠。情報処理に必要なカスタマイズができたのは、スパイラルだけだったという。

 テックマークは、現在はまだ紙ベースでやりとりをしている既存の顧客企業にもクラウド化を提案。申込書の郵送やデータのチェックなどを含めて1件当たり900円かかるコストが、300円程度に削減できると見込む。クラウド化で精緻な情報管理をしながら、将来は延長保証にかかる保証料コストを引き下げ、顧客企業に選ばれるサービス提供を目指すという。