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三菱地所レジデンスの佐藤公治執行役員ブランド・CS推進部長
三菱地所レジデンスの佐藤公治執行役員ブランド・CS推進部長
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 三菱地所グループでマンション事業を展開する三菱地所レジデンス(東京都千代田区)は、2011年から顧客ロイヤルティーを計測するKPI(重要業績評価指標)を導入。モデルルームを来訪する見込み顧客や、購入顧客に毎月調査をしている。2012年末時点で従来の顧客満足度調査に比べ、回答率が約1割アップ。数値の向上に伴って業績も好調に推移している。

 同社が導入したのは「NPS(ネットプロモーター・スコア)」と呼ばれる指標。自社や商品について「友人や知人に奨めたいと思いますか」という質問をし、「非常にそう思う」から「全くそう思わない」までを0から10までの11段階で評価してもらう。0~6までの評価をした人を「デトラクター(非難者)」、7と8の評価をした人を「ニュートラル(中立者)」、9と10の評価をした人を「プロモーター(推奨者)」とし、回答者全体に占めるプロモーター比率からデトラクター比率を引いたものをNPSとして定義する。

 NPSは米コンサルティング会社のベイン・アンド・カンパニーが開発した。同社の調査によると、NPSを導入した多くの事例では、業績の相関が実証されているという。友人や知人に紹介したいという意向は、企業ブランドや商品に対する強い信頼や愛着の表れであり、NPSが高いほど、顧客の継続利用志向が強く、クチコミによる新規顧客拡大効果が大きい。さらに新規顧客開拓のための販促活動や、顧客の離反防止にかかるコスト削減にもつながる。こうした効果を評価し、米ゼネラル・エレクトリックや米アメリカン・エキスプレスなどが導入している。

 三菱地所レジデンスは、三菱地所、三菱地所リアルエステートサービス、藤和不動産の3社の住宅事業が統合して2011年1月に誕生。同年の4月からNPSを導入した。導入の狙いとして、佐藤公治執行役員ブランド・CS推進部長は「顧客調査の回答率アップ」を挙げる。従来から、モデルルームの来訪時、契約時、引渡し時、アフターサービスなどのフェーズごとに顧客に満足度調査用紙を郵送して回答を求めていた。しかし「A4の用紙数枚に多くの質問を盛り込んでいたため、回答率がなかなか上がらないことが悩みだった」という。NPSの導入以降は「三菱地所レジデンスという会社を友人・知人に奨めたいと思いますか」「今回担当させていただいたスタッフを友人・知人に奨めたいと思いますか」という「究極の質問」を中心に、はがき1枚に収められる量に絞り込んだ。質問をシンプルにしたことが寄与し、回答率は約1割向上した。

 回収した調査用紙を集計し、マンションの販売現場や担当者ごとにNPSを算出して現場にフィードバックする。自由意見欄に書き込まれた顧客の声も参照しながら、現場で改善を図る。こうした取り組みを続けた結果、取り組み当初約25%だった企業ブランドに対するNPSは40%に向上、営業担当者のNPSも12%から25%へと向上した。この間、不動産市況などは特に好転しなかったにも関わらず、同社の業績は好調に推移。「NPSを上げると業績にも好影響が出ることが分かり、現場でも定着した」と佐藤執行役員は見る。

 ただしNPSの導入当初は、「9と10しかプロモーターと定義されないのは厳しい」と現場が困惑することもあったという。そこで八木橋孝男社長が現場の担当者やマネジャーとNPSについて話し合う場を設けて、理解が深まるよう取り組んだ。また毎月「ブランドCS検討会」を開催して、各現場の良い取り組みを全社で共有したり、NPSが高い営業担当者を四半期ごとに表彰したり、そのノウハウをDVD化したりした。こうした取り組みを通じて「業績のいい営業担当者はNPSも高い」という認識が社内に広がり、業績に直結する指標としてNPSを重視する現場が増えていった。

■変更履歴
当初、第4段落で「三菱地所レジデンスは、三菱地所の住宅事業部門と藤和不動産が統合して2011年1月に誕生」としていましたが,正しくは「三菱地所レジデンスは、三菱地所、三菱地所リアルエステートサービス、藤和不動産の3社の住宅事業が統合して2011年1月に誕生」です。お詫びして訂正します。本文は修正済みです。 [2012/02/07 14:40]