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社内の知識が発掘される

 副次的な効果として、社内に埋もれていた知識が発掘された。「ロシア語のメールを本社の社員が受け取ったが、本社にはロシア語を読める社員がいなかった。『誰か分かりませんか』とZyncro上で全社宛てにメッセージを流したところ、店舗のアルバイトにロシア留学経験のある人がいた」(鈴木氏)。アルバイトの手助けを得て、メールを読み解けた。

 このほか、海外営業部門が製品を卸している国を世界地図にマッピングしようとした際、安くて扱いやすい地図の入手方法が分からなかった。Zyncro上で意見を募集したところ、通信販売部門のスタッフがアイデアを出した。インターネット上にあるフリー素材の白地図を、社内のポスター出力用プリンターで印刷するという方法だ。海外営業部門は提案された方法を採用して、大きな紙の地図に情報を書き込んで海外事業の動向を可視化した。

 カジュアルに多数で会話できるコミュニケーションインフラを整備したことで、社員個人が“本業外”で持つスキルを発揮しやすくなった格好だ。

1カ月間の試行後に一斉導入

 導入に当たっては、社員が使うように促すことに腐心した。

 まず、オーシャンブリッジと交渉して、「全社員」を対象にした1カ月間の無料試験利用を条件として引き出した。「少人数の試行では効果が分からないと考えた。SNSは周りの人が使うからこそ自分も使うもの」(鈴木氏)と考えたからだ。

 試験期間は2013年2月下旬から3月末まで。総務部で全員分のアカウントを取得して、社員にメールでアカウント情報を送信した。その後、朝礼で「社内SNSを入れたので使ってください」と連絡し、3月4日に運用ルールをメールで全社員に送付した(図2)。

図2●全社員への一斉導入と社内メール禁止で利用促進
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図2●全社員への一斉導入と社内メール禁止で利用促進
図は壽屋の社内メールに加筆・修正したもの。ルールを決めるだけでなく、利用の目的やメリットも説明して、従業員が納得したうえで使い始めるように工夫した。

 メールでは社内SNSを導入する目的とメリットを明確に伝えた。社内SNSを利用する意義を理解したうえで使ってもらうためだ。そして、1週間後の3月11日以降は、原則として社内メールとIP Messengerの利用を禁止した。「抵抗する声は少なからずあった」(鈴木氏)という。

 社内の抵抗に対し、Zyncroの一斉導入を決めるなど旗振り役となった専務が積極的に発言したり、『いいね!』を押したりした。プライベートでFacebookやTwitterを使う社員はZyncroにあまり抵抗がなく、早期に使いこなすようになった。このような動きに引きずられるように、ほかの社員も使うようになった。

 試験期間で効果が見込めたことから、4月以降は有償プランを契約して本格的な利用に移行した。Zyncroの年額料金は1ユーザー当たり7200円(税別)。全社員180人と店舗のアルバイトで利用している。