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 データ項目の名称や意味を登録した辞書のこと。データ辞書と呼ぶことも多い。企業の情報システムにおけるデータ・ディクショナリは、データの整合性を保つための“データ定義標準化”ツールとしての役割を果たす。整備したデータ・ディクショナリの内容に従ってすべてのデータベースを構築すれば、データの一貫性を保てる。それにより、データベースの重複をなくし、システムの肥大化を防ぎやすくなる。

 データ・ディクショナリでは、情報システムで扱う業務データの名称や意味を、人間が理解できる形で記述し、蓄積する。データ項目には、例えば、「商品名」「取引先名」「顧客名」「売り上げ」「利益」「在庫」などがある。

 「商品名」という項目を登録する場合、「商品名とは、すでに出荷済みのもので、現在も生産・販売しているものを指す」というように、その意味を定義した文書も作成する。この場合、販売数や在庫状況のような具体的な商品(商品A、商品Bなど)の情報は、データ・ディクショナリではなく、別の商品管理用データベースなどに収容する。

 データ・ディクショナリを使いこなすには、全体の構成を決める際に、長期的なメンテナンス性を考慮する必要がある。企業では、情報システムを使う業務が増えるにつれ、定義すべきデータ項目の数が膨らむ傾向がある。データ項目のレベルを意識しておかないと、予期せぬデータ・ディクショナリの管理作業が発生する可能性が高い。

 データ・ディクショナリに登録しておくデータ項目の詳細さは企業によって大きく異なる。データ項目数が多ければ、データベース・ソフトや開発支援ツールなどを使ってデータ・ディクショナリを管理することが多い。企業規模が小さかったり、システム化の対象範囲が狭かったりして、データ項目数が少なければ、ファイル形式で管理することもある。

 データ・ディクショナリを作成・管理するメリットは、同じ意味を持ったデータ項目がいくつも存在する事態を、回避しやすくなることだ。データ・ディクショナリに基づいてデータベースを設計すれば、同じ意味を持つデータの呼び方が複数存在したり、逆に同じ名称のデータが異なる意味を持ったりすることはない。例えば、取引先会社を示すデータ項目の管理方法をあらかじめ定義しておけば、「日経商事株式会社」や「株式会社日経商事」、「日経商事」というように、同じ意味を持ちながら、異なる名称のデータが存在することがなくなる。

 業務プロセスや組織、法制度などの変更に応じたアプリケーションの開発や機能追加・変更のスピードを高める考え方に「コンポジット・アプリケーション」がある。コンポジット・アプリケーションの実現には、「マスタ・データの統合」が不可欠であり、その具体的な手段には、データ・ディクショナリの整備も含まれている。

(戸川)

本記事は日経コンピュータ2005年5月2日号に掲載したものです。
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