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事業に投じた資金で得たもうけが、資本コストを上回っているかを測る指標。米スターン・スチュワートが開発した。導入企業には高収益体質のところが目に付く。

 多くの企業で会計年度が切り替わる3月。管理職の方々にとっては、予算の編成に頭を悩まされる時期でもあります。

 ところで、自部門が使う資金にはコストがかかっているという意識をお持ちの方は少ないのではないでしょうか。投じた資金以上の収入があればもうかっているように見えますが、そうとは限りません。企業は、資金の提供者である銀行や株主などへ、借入金の金利や配当金といった見返りを支払わなければならないからです。つまり、毎年使う予算にはコストがかかっています。

 事業で得たもうけが、これらのコストを上回っているかを測る経営指標が「EVA(経済付加価値)」です。コンサルティング会社の米スターン・スチュワートが開発し、同社の登録商標でもあります。

◆効果
株主価値を可視化

 「税引き後事業利益−投下資本×資本コスト」。EVAはこのような計算式で表されます。EVAがプラスであれば、企業は銀行や株主が期待する以上の価値を生んでいるといえます。反対にEVAがマイナスの場合は、資金提供者は魅力の小さい会社だと判断しかねません。すなわち、EVAは株主らの視点で企業の価値を見えるようにした数値というわけです。

 株主価値を表す代表的な指標であるROE(株主資本利益率)は、株主から得た資金でどれだけ効率良く利益を生み出しているかという側面でしか評価しないため、利益金額の大小は差に表れません。これに対して、EVAは利益の絶対額で表すため、事業規模が大きい企業ほど価値が高くなります。

◆事例
花王は5年で42%増

 株主重視の機運が高まるのに伴って、日本国内ではEVAを採用する企業が登場しています。

 開発元である米スターン・スチュワートが直接、コンサルティングに当たったという意味では、花王が導入第1号になります。設備投資やM&A(企業の合併・買収)、業績評価─。同社は99年4月から、あらゆる意思決定の物差しにEVAを活用し始めました。賞与の一部をEVAと連動させて社員のモチベーションを高めるといった施策が功を奏し、導入初年度から5年間でEVAを42%増やしています。

 日本ゼオンは、ZVA(ゼオン流経済付加価値)と呼ぶ、EVAの概念に基づいた独自の指標を活用して、工場や支店の改善活動を評価します。製品や工程といった単位でグループ分けし、各グループにZVAに結び付く指標を設定し、社内システムで共有する仕組みを構築しました。お互いが達成度を競い合えるようにして改善を促進し、ZVAの増大に結び付けています。

(相馬 隆宏)