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「共同雇用」という形で事業会社の雇用を肩代わりする組織。PEO会社を利用することで、労務管理費や雇用にまつわるリスクなどを軽減できる。

 米国では、約20年前の税法改正で、「PEO」と呼ばれる企業に対して、顧客企業に代わり、従業員の給与や税金を支払う権利が認められています。従業員は顧客企業の指揮下で働きますが、雇用契約はPEOと結ぶことになります。「共同雇用」と呼ばれるこの形態は、日本では認められていません。

 規模のメリットを追求できる大企業は、自社内に間接部門を抱えることもできますが、中小企業はそうはいきません。米国では、わずらわしい税金や年金の計算や、納付業務を外部委託したい中小企業を顧客として、PEOが広がっています。官公庁にも、中小企業からの税金の徴収手続きが簡略化できるなどのメリットがあります。

 米国の業界団体「NAPEO」によると、全米50州でおよそ700社のPEO会社が存在するそうです。ハーバードビジネスレビュー誌はPEOを「90年代に最も急成長を遂げたサービス産業」と評しています。

◆効果
戦略部門に資源を集中

 ある会社がPEO会社にサービスを依頼したとすると、社長以外のほとんどの社員がPEO会社に籍を移します。そしてPEO会社からの派遣社員として、もともと在籍した職場で働くことになります。

 人事や経理などの間接業務はPEO会社に任せられるので、採用や労使交渉などに頭を悩まされることも少なくなります。間接部門に人員を割かずに、戦略部門に集中できるようになるのです。

 正社員でなくなることでモチベーションの低下が懸念されるかもしれませんが、もともと米国では人材派遣やアウトソーシングが早くから普及しています。PEOはこうした風土を前提として広がったサービスともいえるでしょう。

◆事例
日本版PEOも

 日本では、アウトソーシング大手のフルキャストが昨年4月から「日本版PEO」ともいえるサービスを展開しています。導入第一弾となったのは、ソニーミュージックグループです。アルバイト社員およそ300人はホワイトカラーの人材派遣を行うフルキャストオフィスサポート(東京・渋谷)に転籍しましたが、派遣社員として引き続き同グループで働いています。

 ソニーミュージックグループとしては、アルバイト社員に支払う給与は以前と同じままなので人件費の削減にはつながりませんが、採用や給与計算など労務管理業務を軽減できます。

 総務省の労働力調査によると、正社員比率は94年から10年連続で下がっています。派遣社員やアルバイトの活用が広がるなか、労使双方にメリットのある雇用形態を探る努力は今後も求められるでしょう。

(上木 貴博)