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 Corporate Social Responsibilityの略。「企業の社会的責任」と訳す。企業を社会の一員とみなし、コンプライアンス(法令順守)はもちろん、環境への配慮、雇用の確保、適切な情報開示、社会貢献などを要求する考え方を一般に指す。顧客や株主だけでなく、社員、取引先、地域社会といったステークホルダー(利害関係者)の要求を満たす“良い企業”であることを企業に求める。

 不祥事の増加や、社会貢献、環境意識の高まりを受け、CSRは企業活動を遂行する上で無視できない概念になりつつある。特に、CSRへの関心が高い欧米で事業を展開する企業にとって、CSR活動は重要な課題である。

 現在、企業が実践しているCSR活動としては、「顧客に安全性が高く高品質の製品を提供する」、「株主に正しい情報を迅速に開示する」、「性差別や人種の差別なく従業員を雇用する」、「職場の安全性を確保する」、「地域社会に文化施設を提供する」などが挙げられる。

 だが、現時点でCSRの詳細な活動内容に関する、明確な定義は存在しない。複数の定義が乱立しているのが現状で、ステークホルダーがCSRに熱心な企業とそうでない企業を見分けることは簡単ではない。企業も、どこからCSRの取り組みを始めればよいのか悩んでいる。

 CSR活動の定義としては、国際的には、OECD(経済協力開発機構)が策定した「多国籍企業ガイドライン」や、世界中の経営者の集まりである「CRT(経済人コー円卓会議)」が提唱する「企業行動指針」がある。国内でも、経済産業省や経済同友会が独自の定義を決めている。

 だが、いずれの定義も内容は大きく異なる。例えばCRTの定義ではCSR活動の対象であるステークホルダーを「顧客、従業員、オーナー(株主)、サプライヤ、競争相手、地域社会」の六つに分類しているのに対し、経済同友会の定義は「市場、環境、人間、社会」の4分類である。

 そこでISO(国際標準化機構)は2004年6月から、CSRの国際規格化を進めている。2007年までに規格化作業を終える予定だ。これができれば、企業はCSR活動の内容を決めやすくなり、ステークホルダーも企業を評価しやすくなる。

 CSR活動を実践する上で、ITは重要な役割を果たす。例えば、食料品の原材料や製造工程に関する情報の履歴を追跡するトレーサビリティ・システムや、製品への有害物質の含有量を管理するシステムなどを構築することで、消費者や取引先に対し、製品の安全性を示すことができる。

 公共性の高いシステムでは、信頼性を高めることや災害時の復旧策を整備することも、CSRの一貫である。個人情報保護法や企業改革法といった各種の法規制を順守するためにも、ITの活用は欠かせない。

(島田)

本記事は日経コンピュータ2005年3月21日号に掲載したものです。
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