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従業員が仕事に対してやりがいを感じているかどうかの指標。顧客満足度を高めるうえで、深い関係がある。要因を把握するには詳細な分析を要する。

 「顧客満足度を重視した経営をしよう」——こう願う経営者は少なくないはずです。そのためには、従業員がどんな表情や態度で顧客に接するかが印象を大きく左右します。営業担当者や、注文や苦情を受け付けるコールセンターのオペレーター、サービス担当者などが、まるで仕事にやりがいを感じずに顧客に冷たい印象を与えるやり取りをしてしまうようだと、顧客に悪い印象を与えかねません。

 顧客と従業員の満足度の間には大きな関係があるといわれます。従業員のモラルやモチベーションの強さを「従業員満足度」と呼び、従業員にアンケートすることが多くの先進企業で行われています。

◆効果
満足度の要因は複雑

 従業員満足度は単に給与への満足感を表す指標ではありません。

 米国の心理学者であるフレデリック・ハーズバーグ氏は、従業員満足度を左右する要因は大別して2種類あると提唱しています。1つは、苦痛につながる要素、もう1つが高い満足感につながる要素です。

 例えば、職場の衛生状態が悪く高温多湿で不潔といった状況であったり、給与が安くて生活が苦しければ、従業員は当然、苦痛を感じます。こうした苦痛の原因を取り除くことでも従業員満足度は向上しますが、これだけでは実は高い満足度にはつながりません。従業員満足度をさらに高く伸ばすには、仕事を通じて個人が成長しているという実感や、人から認められること、達成感を持てることが必要だとハーズバーグ氏は分析しました。

 すなわち職場の人間関係や給与などに従業員が苦痛を感じないように対策することは重要ですが、経営資源のすべてをそこに割いても効果に限界があるということです。併せて、達成感や誇り、成長している実感を仕事を通じて得られているのかどうかなどにも目を向ける必要があるのです。後者の対策には、いろいろあります。表彰制度や研修制度の充実、従業員が多くの職務を経験できる人事制度などもその一例でしょう。

◆事例
60項目を調査

 富士ゼロックスでは1年に1回、オンラインで本社の約1万5000人の従業員に「モラル・サーベイ」という名称で無記名アンケートを行います。経営者や会社の将来性をどう見ているか、職場や上司をどう見ているか、セクシャルハラスメントを見かけたことはないか、教育は効果的になされているか、人事評価はきちんとフィードバックされているか、企業理念が自分の職場では尊重されているか─といったことを問います。設問は60問もありますが、例年、約8割の従業員が回答しています。

(井上 健太郎)