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納入業者に在庫管理を任せる手法。部品メーカーなどが、納入先からの需要情報に基づき欠品が出ないように倉庫に納入する。大手製造業を中心に導入が広がる。

 富山の置き薬をご存じでしょうか。何種類もの薬が入った薬箱を客先に置かせてもらい、業者が定期的に訪問して顧客が使用した分だけ代金を支払ってもらう商慣習です。製造業や小売業で、これと似た考え方の在庫管理手法を取り入れる企業が増えています。それが、「VMI(ベンダー・マネージド・インベントリー)」です。

 VMIは、納入業者が購入者に代わって在庫を管理する仕組みです。家電製品など大手完成品メーカーや小売業の物流拠点を中心に導入事例が増えています。製造業ではコンデンサーなどの汎用部品から、その企業でしか使えない特注部品にまで品目が広がっています。

◆効果
在庫持たずに欠品なし

 完成品メーカーがVMIの採用に積極的なのは、自社で在庫を持たずに欠品を防げるからです。VMIでは、在庫管理の責任は部品メーカーにあります。まず部品メーカーは、完成品メーカーとの間で倉庫内に最低限必要な数量を設定します。さらに完成品メーカーから2~3カ月分といった中期の生産計画と、毎日使用した数量の情報をもらいます。こうした情報に基づき、あらかじめ設定した在庫を下回らないように部品を倉庫に納めます。つまり、完成品メーカーは発注というプロセスを踏まずに、将来の計画さえ渡しておけば倉庫から使いたい分だけを取り出して使用できるのです。

 完成品メーカーの倉庫にある在庫は、部品メーカーの資産となります。完成品メーカーが倉庫から取り出して初めて、部品メーカーが売り上げとして計上できます。

 一方、VMIは部品メーカーにとってもメリットがあります。完成品メーカーとの間で決めた在庫数を下回らなければ納入時期は自由に決められます。まとめて作って倉庫に置くことで輸送コストを下げたり、自社の生産計画に合わせた納入計画を立てられます。

 現状では、部品メーカーが需要の急速な伸びに備えて倉庫に多めに置いておくことが多く、完成品メーカーのほうがメリットが大きいといわれています。

◆事例
すべての汎用品に採用

 ソニーEMCSは1985年からVMIの考え方を取り入れた独自の在庫管理手法を導入しています。現在は、コンデンサーなどすべての汎用品が対象となっています。この手法によって倉庫スペースを削減できました。

 さらに2002年から2003年までに東日本と西日本に1カ所ずつ調達センターを設置し、納入業務を集約しました。各事業所で合算するよりも倉庫の運営コストを削減できました。

(西 雄大)