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 プロジェクトの計画や成果物、労働力を同じ指標(出来高)に換算して管理することで、プロジェクトの遅延やコスト超過を早期に発見する手法。Earned Value Managementの略である。指標としては一般的に、工数(人月)が用いられる。

 米国では1996年に米国規格協会がEVMを「ANSI/EIA-748-1998」として規格化。日本では2003年に経済産業省がEVMを有効活用するためのガイドラインを公開(http://www.meti.go.jp/policy/it_policy/tyoutatu/tyoutatu_top.htm)した。同省向けのシステム構築案件の一部では、EVMでプロジェクト管理をしていることを入札の条件としている。

図●EVMのグラフ

 EVMの実施は、計画と現状把握の二つからなる。計画では、WBS(Work Breakdown Structure)と呼ぶ手法でプロジェクトを複数のフェーズに分け、各フェーズでの成果物の作成に必要な工数を算出する場合が多い。成果物とは例えば、業務機能定義書、画面遷移図、プログラムなどだ。各フェーズのスケジュールを立てれば、ある一定の期間で作るべき成果物の工数が分かる。この値を出来高計画値(PV:Planned Value)と呼ぶ。横軸を時間、縦軸を工数としてPVを積み上げたグラフが、プロジェクト管理の基準となる([拡大表示])。

 現状把握では、その時点までに完成した成果物を工数に換算し直した出来高実績値(EV:Earned Value)と、実際の工数であるコスト実績値(AC:Actual Cost)をモニタリングする。それぞれの累積をPVのグラフに重ね合わせると、計画と現状とのずれが分かる。PVとEVの差がスケジュールのずれ、ACとEVの差がコストのずれとなる。

 例えば、4カ月目までに25人月分の成果物を作る計画(PV)に対し、30人月の労働コスト(AC)をかけて15人月分の成果物(EV)が得られた場合。PVとEVの差である10人月分だけスケジュールが遅れ、ACとEVの差である15人月分だけ、コスト超過していると判断できる。

 EVMで現状と計画値とのずれを把握していけば、納期に間に合わせるために追加投入すべき労働力はどのくらいか、最終的にどれだけコスト超過しそうかなどを判断できる。ただし、PVやEV、ACの値が正確でなければ、EVMを基にした判断は意味をなさない。EVMの効果を出すには、工数の見積もりの精度を高めたプロジェクトの計画と、正確かつ迅速な現状把握、の二つが必要不可欠である。

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本記事は日経コンピュータ2004年12月27日号に掲載したものです。
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