システム運用にかかわる業務全般を整理・体系化した「ITIL(ITインフラストラクチャ・マネジメント)」に基づいて、企業や組織における運用プロセスの品質を審査するための規格。ITILの普及・啓蒙を目的とするNPO(非営利団体)である英itSMFの働きかけによって、BSI(英国規格協会)が2000年に策定した。
日本では2004年から、BSIの日本法人であるBSIジャパンなどがBS 15000認証サービスを提供しており、すでに日本テレコムや日本ユニシスなどが認証を受けた。ITILに対する関心の高まりと軌を一にして、注目を集めつつある。
BS15000は、ITILの規定する業務プロセスが組織的に確立されていることを認証するためのもの。認証を受けることで、アウトソーシングやコールセンター業務代行といったサービスを提供するベンダーは、サービス品質を向上する体制を確立していることを顧客にアピールできる。企業のシステム部門は、システムを安定的に運用する体制を築く手段の一つとして利用できる。
BS15000は2002年の改訂版から、規格への適合条件である「BS15000-1」と、BS15000-1に沿って業務プロセスを確立する際のポイントをまとめた「BS15000-2」の2部構成になった。規格認証の対象になるのは、BS15000-1だけである。
BS15000-1は適合条件として、システム障害やユーザーからの問い合わせ状況を管理する「インシデント管理」や、提供するサービス品質の目標を定め、その達成度合いを管理する「サービスレベル管理」といった、ITILにおける10の業務プロセスを網羅していることを挙げる。
BS15000-2は例えば、サービス提供者と利用者との間で定めるサービス・レベルの項目を例示している。
BS15000の認証サービスは、英国の適合性認定機関「UKAS(United Kingdom Accreditation Service)」やitSMFの認定を受けた企業が提供する。日本では、BSIジャパンとDNV(デット ノルスケ ベリタス)の2社が提供している。
BS15000の認証を受けるには、文書による審査と、審査員が現場に出向いて実施する実地審査をパスする必要がある。審査にかかる費用は100人が所属する組織の場合で200万円程度。以後、半年ごとに取り組み状況を審査する。さらに3年ごとに、認証を更新するための審査を受ける必要がある。
2004年12月には、日本テレコム、日本ユニシス、教育機関向け情報サービス提供会社のジェイエムシーの3社が、日本企業として初めてBS 15000の認証を受けた。いずれもBSIジャパンが提供する認証サービスを利用した。海外では2003年後半に、英国でBS15000の認証サービスが始まった。これまでに全世界で10数社が認証を受けたとみられる。itSMFは現在、BS15000の規格を国際標準にするための検討作業を進めている。
本記事は日経コンピュータ2005年1月10日号に掲載したものです。
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