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 継続的に発生する自社業務の一部を、管理責任込みで外部の専門業者に委託すること。IT分野におけるアウトソーシングは、日本では1990年代から盛んになった。コスト削減や組織のスリム化を目的に、シャープや日本航空、菱食といった名だたる企業が、ITベンダーにシステムの開発や運用を委託している。

 IT分野でのアウトソーシングの主な形態として、(1)フル・アウトソーシング、(2)運用アウトソーシング、(3)ホスティング、(4)ハウジングがある。(1)では、企画から運用までシステム関連業務を一貫してITベンダーに委託。(2)では、サーバーやOSなど主にシステム・インフラの運用を委託する。(3)は、ITベンダーが用意したサーバーやストレージを利用するもので、運用や機能強化は全面的に委託する。(4)は、サーバーや通信機器の設置場所をITベンダーのデータセンターに間借りするものだ。

 このほか、複数のユーザー企業がシステム運用のような共通業務を別会社に集約させて、各社が共用する「シェアド・サービス」も、アウトソーシングの一種と見なせる。

 アウトソーシングの対象となるシステムは、基幹系の場合もあれば、コールセンター・システムのような特定用途向けもある。ITベンダーとの契約期間は、短いと1年程度、長い場合は10年以上に及ぶ。

 ユーザー企業がアウトソーシングする場合、通常はシステムの障害率や障害復旧時間などの条件を委託先であるITベンダーと取り決める。アウトソーシングしたシステムや、そのシステムを使って顧客に提供するサービスの品質低下を防ぐためだ。

 システムをアウトソーシングすると、ユーザー企業は開発や運用にかかる負荷の軽減やコストの削減を期待できる。ITベンダーの技術力を活用した戦略的なシステムを開発できるといった利点もあると言われる。

 一方で、アウトソーシングにはシステム開発や運用に関するスキルおよびノウハウが社内に蓄積しづらいというデメリットがある。このために米国では最近、アウトソーシングしていたシステム関連業務を社内に戻す企業が登場している。資産総額で米銀行第2位のJPモルガン・チェースは2004年9月、米IBMと結んでいた7年間のアウトソーシング契約をわずか1年半で解消し、自社でシステムを開発、運用することに決めた。開発や運用のスキルとノウハウを失うのを危惧した。

 アウトソーシングによるスキルとノウハウの消失を防ぐ方策の一つとして、「コソーシング(co-sourcing)」がある。コソーシングは、ユーザー企業とITベンダーが対等の立場で共同で開発や運用を手がけるというもの。システムの開発や運用をすべて自社で行う「インソーシング」とアウトソーシングの中間に位置づけられる。例えばホンダは、システム開発に関して日本IBMとコソーシングの契約を結んでいる。この分野は、常に新しい技術の習得と生産性の向上が求められるからだ。

(栗原)

本記事は日経コンピュータ2005年1月10日号に掲載したものです。
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