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プロジェクトマネジメントの標準ガイド。製造業の国際競争力を強化するために、経済産業省の働きかけで欧米が開発した知識体系を基に独自に体系化した。

 カルロス・ゴーン社長が率いる日産自動車がここ数年実施してきた経営改革が、大きな成功を収めたことは皆さんもご存知のことでしょう。2000年度から始めた「日産リバイバルプラン」では、計画を1年前倒しして2年間で購買費を20%削減し、V字回復に大きく貢献しました。

 “ゴーン改革”の大きな特徴は、同時並行で複数のプロジェクトを走らせ、別々の組織に所属するメンバーで構成する「クロスファンクショナルチーム」がプロジェクトを推進する点にあります。リバイバルプランにおいては、購買費の削減や研究開発力の有効活用など9つのプロジェクトを実行しました。

 日産の例のように、複数のプロジェクトを計画通りに遂行するための知識を体系化したのが「プロジェクト&プログラムマネジメント標準ガイドブック(P2M)」です。

 製造業を中心とする日本企業の競争力低下を懸念した経済産業省が、外郭団体であるエンジニアリング振興協会に開発を委託。同協会が設置したPM導入開発委員会がまとめて2001年11月に発表しました。

◆効果
複合プロジェクトで企業価値を向上

 プロジェクトマネジメントの知識体系としては、米国の非営利団体であるPMI(プロジェクト・マネジメント・インスティチュート)がまとめた「PMBOK(ピンボック)」があります。P2Mは、PMBOKや欧州の知識体系を基に日本の経営環境に合わせて開発したものです。

 決められた個々のプロジェクトを計画通りに遂行するだけでなく、企業の価値そのものを高めるという、より広い観点に立って複数のプロジェクトを組み合わせて実施する点が欧米の体系と大きく異なります。例えば、PMBOKが対象とする知識領域は、「時間」や「予算」「品質」など9つであるのに対して、P2Mは、「戦略」や「ファイナンス」「関係性」など11の領域を対象とします。

◆動向
資格取得者が続々

 プロジェクトマネジメントの成否のカギを握るのはプロジェクトマネジャーです。P2Mの知識を基にプロジェクトを遂行できるプロジェクトマネジャーを育成するために、2002年8月には資格制度を設けました。

 専門知識や実務経験、実践能力といった要求される内容に合わせて、「PMS(プロジェクト・マネジメント・スペシャリスト」「PMR(プロジェクト・マネジャー)」「PMA(プログラム・マネジメント・アーキテクト)」の3種類の資格があります。

 既に認定試験を実施しているPMSに限ると、累計で1330人の合格者が出ており、2005年度には最上級資格であるPMAの認定を予定しています。

(相馬 隆宏)