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 コンピュータの利用形態の一つ。プロセサやメモリー、ストレージなどのハードウエア資源を必要なときに必要な分だけ利用し、使った分だけ料金を払うモデルを指す。電気やガス、水道といった公共(utility)サービスとの類似からこう呼ぶようになった。

 ユーティリティ・コンピューティングを導入すると、ユーザーはハードウエア資源を有効活用できる。処理のピーク時に合わせて、資源を用意する必要がなくなるからだ。例えば販促キャンペーンを実施した結果、受注処理用サーバーの負荷が一時的に限界に達したとき、テスト用サーバーが備えるプロセサの処理能力を借りてしのぐ、といったことが可能になる。

 1980年代にはやったスーパーコンピュータの時間貸し(RCS)は、ユーティリティ・コンピューティングの先駆けといえる。最近の大型サーバーは、同一きょう体内に搭載するハードウエア資源を複数の区画に分割し、それぞれで異なるOSやアプリケーションを動かす機能を提供するのが一般的になってきた。こうした分割機能を使うと、ユーティリティ・コンピューティングは実現しやすくなる。ある区画に割り当てた資源が不足したときは、別の区画の資源を動的に再配分する機能を備えた製品も増えている。

 ベンダー各社はさらに本格的なユーティリティ・コンピューティングの実現に向けてしのぎを削っている。具体的には複数のサーバーやストレージを接続し1台の巨大サーバー/ストレージとして仮想的に扱えるようにする機能の提供を急ぐ。複数のハードウエア資源をまとめて管理し、各システムの要求に応じて動的に割り振れれば、資源をいっそう効率的に利用できるようになる。

 ハードウエアの販売形態やサービスの提供形態に、ユーティリティ・コンピューティングの考え方を取り入れる動きも加速している。日本IBMと日本ヒューレット・パッカード(HP)は昨年、それぞれ実際に使用したプロセサの個数や使用率に基づいて、サーバーの利用料金を課金する販売形態を導入した。IBMは「On-Offキャパシティー・オンデマンド」、HPは「Pay Per Use Active CPU Option」と呼ぶ。

 アイ・ティ・フロンティアや富士通は昨年、ホスティング・サービスの分野にユーティリティ・コンピューティングの発想を持ち込んだ。サーバーの台数やプロセサの個数、メモリー容量、ディスク容量を、ユーザー・システムの負荷に合わせて柔軟に増減できるようにした。こちらも実際に使用した分だけ課金する。

 ただし、現時点のユーティリティ・コンピューティングは、まだ発展途上といえる。これまでベンダー各社が個別にユーティリティ・コンピューティングの実現に向けた研究・開発を進めてきたため、異なるベンダーのハードを相互接続し、1台の仮想システムに見せかけるのが難しくなっている。

(栗原)

本記事は日経コンピュータ2004年11月29日号に掲載したものです。
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