PR

 サーバーやメモリー、ストレージといったコンピュータの物理的なリソース(資源)を、要求に応じて柔軟に割り振る技術。英語ではvirtualizationと呼び、「実在しないものをあたかも実在しているかのようにみせる」という意味を持つ。

 本格的な仮想化は、米IBMが1972年、メインフレーム「システム/370」で初めて実現した。1台のメインフレームが搭載するリソース(プロセサやメモリー)を複数台の仮想コンピュータに割り当て、ユーザーからはそれぞれが独立したメインフレームとして扱えるようにした。

 リソースの分け方には、物理的なリソース単位で分割する「物理分割」と一つのリソースを複数に分割する「論理分割」がある。現在は、より柔軟な割り当てが可能な論理分割が主流になりつつある。

 初期の仮想化では、仮想コンピュータの台数や割り振るリソースを変更するのに再起動が必要だった。その後、再起動することなく動的に仮想コンピュータの数や構成を変更できるようになった。最近は、リソースが足りなくなった場合、予約しておいたリソースを新たに割り振ることも可能になりつつある。

 例えば、日本IBMのUNIXサーバー「eServer p5」は、仮想化機能を標準で備える。OSとしてAIX、Linux、i5/OS(OS/400)のいずれかを搭載する複数の仮想コンピュータに分割できる。各仮想コンピュータが使うプロセサは動的に変更可能。割り振るプロセサを使いきった場合は、「リザーブ・キャパシティ・オンデマンド」という技術を利用し、新たなプロセサを論理的に追加できる。

 仮想化はユーザーが必要な分だけリソースを利用する「ユーティリティ・コンピューティング」を実現するための基盤技術となる。将来的にはユーザーが個々の機器が持つ性能の限界や仕様の違いを意識することなく、必要な処理性能やストレージ容量を利用できるようになる。

 その実現には、複数台のコンピュータのリソースを一元管理し、それらを各仮想コンピュータに柔軟に割り当てる必要がある。これを可能にするソフトウエア製品は日本IBMや日本ヒューレット・パッカードなどが提供済みだが、機能や利用できるハードウエアが限られており、完全なユーティリティ・コンピューティングはまだ実現できていない。

 一方、ストレージの仮想化は、ストレージ専用ネットワークのSANに接続された複数のストレージをまとめ、仮想的なストレージとして提供するもの。ユーザーは、ベンダーやファイル・システムの違いを意識することなく、必要な容量のストレージを利用できる。

 ストレージの仮想化を実現する方法はベンダーにより異なる。日本IBMはサーバーに専用ソフトを組み込む方式をとる。日立製作所はハードウエアとして仮想化機能を実装する。EMCジャパンは来年、SANスイッチに組み込む仮想化ソフトを出荷する予定。

(大森)

本記事は日経コンピュータ2004年11月15日号に掲載したものです。
同誌ホームページには,主要記事の概要や最新号およびバックナンバーの目次などを掲載しておりますので,どうぞご利用ください。

日経コンピュータ・ホームページ

定期購読お申し込みや当該号のご購入