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電子ファイル形式の音楽をインターネット経由で販売するサービス。新型の携帯プレーヤーなどにコピーして楽しむ。著作権保護の課題があるが、米国で普及が進む。

 アップルコンピュータvs.マイクロソフト——。といっても、パソコンやOS(基本ソフト)の話ではありません。「ネット音楽配信」がその舞台です。

 米国では、アップルが昨年4月に始めたネット音楽配信サービス「アイチューンズ・ミュージックストア」が人気を集めています。100万曲以上の楽曲を1曲99セントという手ごろな価格で提供。音楽関連事業の今年4~6月の売上高は7300万ドルと、前年同期の約6倍。同社の屋台骨に育ちつつあります。

 一方、マイクロソフトは今年9月に同社のポータルサイトで音楽配信サービス「MSNミュージック」を開始。やはり1曲99セントで、当初は50万曲ですが、早期に100万曲以上に増やすとしています。小売り最大手のウォルマート・ストアーズなども音楽配信に参入しており、競争はし烈です。

 こうしたサービスが人気を集めるのは、ネットから音楽を取り込んで持ち運べる携帯型プレーヤーが普及したのも一因です。アップルは、1万曲分を記録できるハードディスク内蔵の「アイポッド」を販売。ソニーや東芝といった家電メーカーも参入し、こちらも競争が激しくなっています。

◆動向
国内は携帯電話向け配信が先行

 日本国内では米国と違った動きが見られます。1曲100円前後で曲の一部だけを携帯電話に配信し、着信音などに使えるサービスが人気を集めているのです。KDDIの「着うた」は6万曲以上をそろえ、今年7月には延べダウンロード数が1億曲を突破。着うたの「ミリオンセラー」まで出ています。

 アイポッドなどネット対応音楽プレーヤーは日本でも普及し始めています。しかし、CDから音楽をコピーする使い方が主流で、ウェブサイトからダウンロードして音楽を聴くスタイルは一般的ではありません。

 理由は、米国ほどネット上の音楽配信が充実していない点にあります。エイベックスなどレコード会社約20社が出資・楽曲提供する有力サイト「モーラ」でも提供曲数は約7万曲で、アップルなどのサイトとは1ケタ違います。価格も1曲158円からとやや高めです。

◆課題
著作権保護がカギ

 さらに、アップルなどのサービスではコピー制限が緩いのに対し、国内サービスの多くは、ネットで購入した曲をプレーヤーへコピーできる回数などを制限。不便さを感じる利用者が少なくありません。

 背景には、レコード会社が、著作権を無視する利用者の「違法コピー」を懸念していることや、ネットに需要を食われるレコード店に配慮していることなどがありそうです。業界事情が絡むだけに、日本でネット音楽配信が本格化するのはまだ先かもしれません。

(清嶋 直樹)