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 半径数十メートル以内(パーソナル・エリア)にある機器間の通信用として考案された無線通信の新技術。ジグビーと読む。

 代表的な用途は、ビルや工場の制御を自動化するためのセンサー・ネットワークである。ビル内のさまざまな場所に設置した人感知センサーや温度センサーから定期的にデータを収集する際などに使う。センサーは、コーディネータと呼ぶ1台の集約サーバーにデータを送信する。コーディネータは集めたデータを設備制御システムに転送。照明やエアコンの制御が可能になる。

 パーソナル・エリア向けの無線技術ではBluetoothやUWB(超広帯域通信)などがあるが、ZigBeeはこれらとは異なる特徴を持つ。電波の到達距離が長い点と、広範囲に設置された多数のセンサーからコーディネータにデータを集約できる仕組みを規定している点である。

 BluetoothやUWBの電波の到達距離は約10メートルで、かつ、基本的には1対1の通信を想定している。これを使ってセンサー・ネットワークを構築するには、センサーから電波を受ける機器を大量に設置し、しかも、その機器から集約サーバーにデータを吸い上げる仕組みを作り込まなければならない。

 ZigBeeのコーディネータは、半径30メートル程度の範囲内にあるセンサー約6万4000台と通信できる。また、電波が届かない広い敷地でセンサー・ネットワークを構築する場合のために、マルチホップ型の無線ネットワークを実現する機能を持つ。センサーからの電波が届く範囲にZigBeeの中継装置を設置。センサーが中継装置にデータを送信すれば中継装置がコーディネータにデータを転送してくれる。複数の中継装置を経由させることも可能だ。

 ZigBeeの技術仕様は、IEEEで無線パーソナル・エリア・ネットワークの標準化を進める802.15ワーキング・グループのタスク・グループ4(802.15.4)が策定している。標準仕様はドラフト(草案)段階で、10月末にもバージョン1.0が勧告される見通しだ。電波の周波数は2.4GHzが基本で、世界各国で利用できる。2.4GHzは無線LANなどほかの無線と共用する周波数帯だが、ZigBeeの場合、センサーが収集した小容量のデータを数分もの間隔をおいて送信するだけだから、ほかの無線通信への干渉の心配はあまりない。

 ただし、802.15.4が策定しているのは無線通信部分だけ。前述したマルチホップ型のネットワークを構成するには、無線通信の機能とは別に、どのセンサーがネットワークにつながっていて、どの経路でコーディネータまでデータを転送するかを管理する機能が必要になる。その仕様策定を進めているのが、100社近くの半導体メーカーや通信機器メーカーが参加するZigBeeアライアンスである。日本からは沖電気工業や三菱電機などが参加。沖電気は今年5月、半導体を開発。量産体制を整えている。

(河井)