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 コンピュータや通信機器、家電製品などで、有害な化学物質の使用を禁止する指令。RoHSは、「Restriction of the use of the certain Hazardous Substances in electrical and electronic equipment(電気電子機器の特定有害物質使用規制)」の略である。

 欧州連合(EU)15カ国で2003年2月13日に発効、2006年7月にEU加盟国(2004年7月時点では25カ国)が施行する。地球環境破壊や人の健康に害を及ぼす危険を最小化することを目的としている。対象となる有害化学物質は、鉛や六価クロム、水銀、カドミウムのほか、PBB(ポリ臭化ビフェニール)とPBDE(ポリ臭化ジフェニルエーテル)という2種類の臭素系難燃剤の計6物質である。

 規制の対象となる主な機器は、機器メーカーに回収・リサイクルを義務づけた「WEEE(Waste Electrical and Electronic Equipment)指令」で指定するものと電球および家庭用照明器具と定めている。具体的には、家電製品、情報機器および通信機器、消費者向け機器、照明装置/器具および電球、電動工具、玩具、レジャーおよびスポーツ用品、自動販売機である。WEEE指令で指定した機器のうち、医療機器や監視/制御機器については、RoHS指令の適用範囲に含めるかどうかを検討中である。

 2006年7月の施行前に、EU加盟国それぞれが2004年8月13日までに国内法を制定し、2005年2月13日までにRoHS指令の適用範囲を再度検討して明示する計画になっている。

 RoHS指令はEU内での規制であり、日本や米国に同様の規制はまだない。しかし、日本のメーカーの多くが欧州で製品を販売しているため、製品をRoHS指令に準拠させる必要に迫られている。

 RoHS指令に準拠した製品開発は容易ではない。使用が禁止される6物質が製品に含まれてはならないが、製品を構成する部品や材料は多数の取引先メーカーから調達している。取引先にも6物質の不使用を徹底させるのは簡単ではないからだ。

 日本のメーカーの中で、RoHS指令に熱心に取り組んでいるのがキヤノンだ。同社は、施行の1年半前の2004年末までに、 欧州向けのみならず全世界の市場に向けたすべての製品をRoHS指令に対応させることをグループ目標として定めている。

 禁止6物質のうち、PBBとPBDEの臭素系難燃剤については1995年に代替が完了している。残りの4物質の代替技術も確立した。すでにカラー複合機やデジタル一眼レフ・カメラで、RoHS指令に準拠した製品を商品化している。

 取引先からの調達基準も徹底している。キヤノンは独自の環境管理基準「グリーン調達基準」を定めている。以前は、グリーン調達基準を満たす取引先からの購入を優先するだけだったが、2003年7月からはグリーン調達基準を満たすことが取引の必須条件になった。

(松浦)