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企業の経営戦略を実現するためのIT戦略を企画・立案し、それを実行する最高意思決定者。Chief Information Officerの略で、「最高情報責任者」や「情報システム担当役員」、「情報戦略統括役員」などさまざまな訳語が存在する。CIOというコンセプトは米国で1980年代後半ごろに提唱された。それから15年以上たち、欧米だけでなく日本でもCIOを置く会社が増えている。

 CIOが果たすべき主な役割とスキルは、大きく六つ挙げられる。(1)ITトレンドの把握、(2)説明責任(アカウンタビリティ)、(3)投資コントロール、(4)戦略立案、(5)システム部門の地位向上、(6)システム部門の業務改革、である。

 「CIOは、必ずしもITの専門知識を持たなくてもよい」との見方もあるが、ITの動向に無関心では務まらない。CIOはITに関心を持ち、大まかな技術や製品の動向、ITベンダーの動きを把握しなければならない。

 CIOは、社長や他の経営陣に対して情報化プロジェクトの目的や進捗状況、結果を説明する責任を持つ。米国企業のCIOは、自分の役割としてまず説明責任を挙げることが多い。

 情報化投資をコントロールするのも、CIOの重要な責務だ。経営戦略をかんがみて、会社全体のITコストを管理し、投資案件に優先順位をつける。その際には、会社やグループ全体にとって最適な情報化戦略を中長期的な視点から立案する能力が求められる。

 システム部門の地位向上やシステム部門の業務改革も、CIOのミッションとして見逃せない。システム部員のモラール(士気)を高めるために、システム部門の人事評価制度や教育体系を見直す。さらに、システム部門の業務プロセスの問題点を把握し、改革を推進する。

 経営戦略とIT戦略がますます密になっている昨今、以上のような役割を果たすCIOを重要視する国内企業が増加している。CIOやシステム担当役員を置く企業はもはや珍しくない。

 その一方で、「国内企業に真のCIOは不在」、「CIOとして機能していない」といった指摘が多くみられる。CIOの肩書きを持つ人材が役員でない場合が多い、というのが理由の一つ。CIOには、経営トップに直接意見できる人、すなわち経営会議に出席する役員クラスが就くのが理想とされている。ところが国内企業では、情報システム部長がCIOの肩書きを持っているケースが少なくない。

 さらに国内企業でシステム担当役員が存在する場合でも、その役員がシステム部門以外の役員を兼務していることが多い。このため、「システム担当役員は存在するが、その役員がCIOとして機能していない」という例もある。

 六つの役割からも分かるように、CIOの職責は広く、かつ複雑である。このため欧米企業では、「CIOは他の利用部門の役員を兼務せずに、専任であたるべき」との意見が多くを占める。

(戸川)