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 ソース・コードを公開したソフトウエアにおけるライセンス形態。オープンソースと認められるライセンスの条件は、米オープンソース・イニシアティブ(URLは、http://opensource.org/)が定義したものが一般的に受け入れられている。その定義にはソース・コードの自由な再配布など9項目の条件がある。代表的なものに、Linuxが採用しているGPL(GNU General Public License)のほか、BSD(Berkeley Software Distribution)やAPL(Apache Software License)などがある。

 オープンソースは、1985年に米フリー・ソフトウエア・ファンデーションが手掛けたGNUプロジェクトから発展した。1998年、フリー・ソフトウエアに代わりオープンソースという言葉を使い始めた。Linuxがブームの火付け役となり、無償で利用できることなどからWebサーバーのApacheやメール・サーバーのsendmailなどが普及。最近では、アプリケーション・サーバーのTomcatやJBoss、データベース管理システムのMySQLやPostgreSQLといったオープンソースのミドルウエアも企業システムの構築に利用されるようになってきた。

 ただ、ユーザー企業がオープンソースを採用する際には、大きく二つの障壁がある。一つは、無保証であること。もう一つは、法律的なリスクである。

 オープンソースでは、ソフトウエアのバグなどの問題が発生したときに、責任を持って修正する人や企業が存在しない。コミュニティと呼ぶ開発者の集団がソース・コードを管理しているが、ボランティア活動であり、問題を修正する責任を負っていない。オープンソースはユーザーが自由に使える半面、自己責任での使用が前提である。バグなどに対しては、コミュニティの修正を待つか、システム開発会社やユーザーが自力で修正するほかない。

 法律的なリスクには、ソース・コードの公開義務などがある。ソース・コードの公開義務は、ライセンスにGPLを採用しているオープンソース・ソフトで問題となりやすい。

 GPLでは、ソフトに改変を加えて再配布する場合に、そのソース・コードを一般公開する義務がある。例えば、システム開発会社がユーザー企業のシステムを構築する場合にLinuxを改変したのち、それを別のユーザー企業にも適用するなら、ソース・コード全体を公開しなければならない。

 これらの課題を解決するような動きも出てきた。例えばJBossやMySQLでは、それらの開発者を多く雇用した、米JBoss、スウェーデンMySQL ABといった企業が設立された。サポートなどをビジネスとすることで商用ソフトと同様の品質責任を負う。MySQL ABは、GPLのソフトとは別に商用ライセンスも提供する。ユーザー企業がこちらを選べば、コストはかかるものの法律的なリスクを回避できる。

(森側)