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 ネットワークに接続した複数のパソコンにインストールしておき、ファイルを相互に交換するためのソフト。サーバーを介さずにクライアント・パソコン同士が直接通信するピア・ツー・ピア(P2P)技術を使う。なかでも「Winny(ウィニー)」は、開発者が著作権法違反(公衆送信権の侵害)の手助け(ほう助)をした容疑で5月10日に逮捕され、一気に知名度が上がった。

 ファイル交換ソフトは、大容量のファイルを多数のユーザーに配布する際に有効である。サーバーを使って配信する場合と比較すると、サーバー、負荷分散装置、高速なネットワークなどが不要になるメリットがある。

 ファイル交換ソフトは、2種類に大別できる。どのファイルがどのパソコンに保存されているかを管理するサーバーが必要なものと、不要なものの二つである。

 管理するサーバーが必要なソフトのなかで有名なのは、音楽ファイルの交換を目的とした「Napstar(ナップスター)」、ファイル形式にかかわらず交換できる「WinMX」である。ファイルをダウンロードする際は最初に管理サーバーに問い合わせ、ダウンロード先のパソコンが見つかると、その後はパソコン同士で直接ファイルの転送を開始する。

 一方、管理サーバーが不要なファイル交換ソフトには、「Winny」、「Gnutella(グヌーテラ)」などがある。いずれも、どの形式のファイルでもやり取りが可能である。これらのソフトを使ってファイルをダウンロードする際は、パソコン間でバケツ・リレー式にファイルの検索要求を転送する。目的とするファイルが見つかると、そのパソコンからファイルのダウンロードを開始する。

 ファイル交換ソフトの多くにはこれまで、著作権侵害の問題がつきまとっていた。音楽ファイルを無料で交換できるようにしたNapstarは、2000年に全米レコード協会などから訴えられ、翌年管理サーバーを停止した。WinMXはユーザーが自由に管理サーバーを構築、運用することが可能で、管理サーバーがたくさんある。このため違法なファイル交換があったとしても、簡単には止めることができない。

 数あるファイル交換ソフトのなかで特にWinnyが問題になったのは、ユーザーの匿名性が高く保たれ、著作権違反のファイルが数多くやり取りされたためである。まず管理サーバーが不要なので、サーバー側にファイル交換をした履歴(ログ)が残ることがない。さらにWinnyにおけるファイル検索やダウンロードは、直接ではなく、別のパソコンを中継して行う。転送するデータや中継したパソコンにキャッシュとして残るファイルは暗号化されており、交換したファイルや相手を特定できない。著作権法では、著作者に無断でファイルを送信可能にしただけで犯罪になるが、Winnyではこうした行為を摘発しにくい仕組みになっている。

(坂口)