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CIO(情報戦略統括役員)の育成を狙って、必要なスキルを体系的に教育する講座。米政府機関の認可を受けた7つの大学が大学院レベルの教育コースを提供する。

 CIO(情報戦略統括役員)の仕事は、企業によって大きく異なります。IT(情報技術)インフラの企画・構築に主眼を置いている企業もあれば、ITをテコにした業務改革の企画・運用に重きを置く企業もあります。

 もちろん、この両面を統率できる力があれば申し分ないのでしょうが、そのようなスーパーマンを常に輩出できるわけではありません。そもそもCIOにとって、どのようなスキルがどの程度必要であるのかが分からないというのが、多くの企業の本音でしょう。

 このような日本の状況に対して、米国ではCIOに求められるスキルを体系的に教育する「CIO大学」という人材開発プログラムがあります。これは、米総務庁(GSA)と、米行政管理予算局(OMB)に設置された「CIOカウンシル」の共同プロジェクトで、認可を受けた大学が大学院レベルの教育コースを提供するものです。

◆効果
スキル取得に客観性

 CIO大学を開設する発端となったのが、1996年に成立した情報技術管理改革法(通称クリンガー・コーヘン法)です。この法律のなかで、CIOの役割が定義されました。こうした人材を政府機関で育成するために、GSAとOMBがCIO大学の設置に取り組みました。

 現在、CIO大学を設置している大学は、カーネギーメロン大学やジョージワシントン大学、ジョージメイソン大学、メリーランド大学など7校。もともとは政府職員向けに開設された教育コースですが、民間企業の社員も受講が可能です。このコースを修了すれば、CIOに必要なスキルを有していると、政府機関からお墨付きをもらえるようなものです。

 授業は、ITとビジネスに関して幅広いテーマが対象になります。例えば、カーネギーメロン大学のコースは、リーダーシップ、電子商取引と電子政府、プロセスとパフォーマンスの管理、キーテクノロジー、戦略と計画、IT調達とプログラム管理、ITマネジメント、情報セキュリティーという授業で構成します。それぞれが4日間の授業です。

◆動向
国内大学も設置へ

 日本には現在のところ、米国のCIO大学に相当するような、政府機関による認定制度はありません。しかし、早稲田大学や金沢工業大学大学院、大阪市立大学、名古屋商科大学大学院などが2003年から2004年にかけて、CIOの育成を目的とした独自の教育コースを開講しています。

 こうした大学のなかには、米国のCIO大学との提携を模索する動きも出ています。

吉川 和宏 kyoshika@nikkeibp.co.jp