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どんな購入者を想定し、どんな商品を、どんな価格で、どのぐらいの量を、どのように並べるか、などを考える小売業の商品政策。メーカーや卸も小売業に提案する。

 都会で売れていても地方ではさっぱりという商品はあります。同一地域内でもそんな現象は起こります。小売業にとって自店舗で売れる商品を考え、さらに、想定したように売ることは難しいのです。

 「マーチャンダイジング(MD)」とは、限られた売り場スペースで上げる利益を最大化するために各種方策を考えることです。POS(販売時点情報管理)データなどに基づいて、売れ筋商品だけを並べるだけでは十分とは言えません。もし違う商品を並べていれば、あるいは違う陳列法をとっていれば、もっと利益を得られたかもしれないからです。マーチャンダイジングを担当するマーチャンダイザーはいわばプロデューサー。消費者の潜在的な購買意欲を引き出す力が求められます。

 では、このマーチャンダイジング、だれが担っているのでしょうか。基本的には小売業自身ですが、メーカーや卸が小売業に提案するケースもあります。さらに、メーカーや卸、小売業などが共同で手掛けることもあります。イトーヨーカ堂の「チームMD」がその代表例です。商品企画、素材開発などの専門家たちが直接話し合いながら商品づくりを進めるものです。

◆効果
売り場拡大の好機

 メーカーが小売店のマーチャンダイジングに積極的にかかわろうという傾向は強まっています。このところ注目されてきたのが「クロスMD」。複数のメーカーが互いの商品を関連させて、売り場での販促活動を共同で展開するものです。

 このクロスMD、メーカーにとっては自社製品の売り場拡大につながる可能性があります。本来置かれるべき売り場以外のところに、自社製品を置いてもらえるわけです。小売店にとっても社外の知恵を借りることができます。メーカー同士、メーカーと小売店。モノが簡単に売れない時代を生き抜くための、新たな協業が始まったと言えます。

◆事例
購買意欲高める

 キリンビールはクロスMDに積極的に取り組んでいます。「おいしい食事に『一番搾り』」という訴え方をしようと、テレビCM、そしてスーパーなどの店頭で他の食品メーカーと共同で販促しています。紀文食品の「なべぞこ大根」「うなまぶし」との連携が代表例です。この効果は大きく、キャンペーン期間中のビールの売り上げは従来よりも2割、3割とアップしたそうです。紀文も「商品の陳列場所の拡大効果は大きい」と言います。小売店に来る消費者のうち、あらかじめ購入するものを決めてこない層は案外多いといわれます。売り場での販促を見て“買う気”をそそられるわけです。

長谷川 直樹 nhasegaw@nikkeibp.co.jp