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ソニーの非接触ICカード技術。JR東日本の乗車券など、交通分野で広く使われる。電子マネーや社員証など利用分野が広がっており、今後は携帯電話への内蔵も進む。

 電車に乗るときに、乗車券を定期入れに入れたまま自動改札機に当てる——。このような光景は、都市部を中心によく見られるようになりました。JR東日本の「スイカ(Suica)」などのICカード型乗車券が広まったからです。

 スイカが採用するのは、「フェリカ(FeliCa)」と呼ばれるソニーの非接触ICカード技術。カードを改札の読み取り(書き込み)機に近づけると、無線でデータを送受信する仕組みです。カードの有効期限を確認したり、運賃を差し引くなどの処理をして、改札機の扉が開きます。一連の処理にかかる時間はわずか0.2秒。必要な電力は、電波を使いカード側で発電します。

 利用者のメリットは、従来のように改札機にカードを挿入する手間がなくなること。事業者にとっては、カードと機器が接触して磨耗したり壊れることがない点がメリットです。カードに保存する残額などのデータは暗号技術で守られるため、磁気カードのように偽造される危険が少ない点も重要です。

◆事例
交通分野を独占

 フェリカを搭載したカードの累計出荷枚数は全世界で約4300万枚(昨年12月末時点)。約800万枚を発行するJR東日本に加え、JR西日本や全国の中小交通機関も採用しています。業界団体がフェリカをICカードの標準仕様としており、フェリカは交通分野をほぼ独占しています。海外でも、香港やシンガポールなどの交通機関で使われています。

 ソニーは自力での用途開拓にも積極的。関連会社が展開する電子マネー「エディ(Edy)」や、クレジットカード「エリオ(eLIO)」にもフェリカを使っています。さらに、東京三菱銀行や電通など、社員証にフェリカを採用する企業が増えつつあります。

◆動向
携帯電話と融合へ

 非接触ICカードの規格には、フェリカ以外に、ICテレホンカードなどで使われる「タイプA」と、住民基本台帳カードなど公共分野に強い「タイプB」があります。NTTコミュニケーションズなどが推進するタイプBは、暗号技術などで優れており、フェリカのライバルです。

 対抗するソニーは今年1月、NTTドコモと合弁でフェリカネットワークス(本社東京)を設立。携帯電話にフェリカを内蔵し、新サービスの提供を目指します。昨年12月から実施している実証実験には、JR東日本やぴあなど27社が参加。ぴあはすでに昨年10月から携帯電話にダウンロードして使う電子チケットサービスを始めていますが、従来の赤外線通信に比べて処理速度が速いフェリカの採用を検討しています。

清嶋直樹 nkiyoshi@nikkeibp.co.jp