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 顧客(発注者)から依頼された仕事を複数の企業が共同で受けること。仕事を受けたそれぞれの企業は作業を分担して進め、最終的に成果物をまとめて発注者に納入する。主に情報サービス業や建築業、製造業の中小企業が採用している。

 情報サービス業における共同受注は、中小規模のソフトハウスが集まってシステム開発案件を共同で受けるケースが多い。共同受注により、1社ではこなすのが困難な大規模案件を受注できるのがメリット。下請け業務からの脱却につながると期待する声もある。共同受注の形をとれば、中小の企業でもユーザーから直に仕事を受注できるからだ。

 共同受注をするには、発注者に対する共通の“窓口”を用意する必要がある。窓口の実現方法には大きく2種類ある。一つ目は、ソフトハウスで構成する協同組合のような団体に共同受注の窓口を任せること。もう一つは、複数の企業が出資して共同受注の窓口となるジョイント・ベンチャーを立ち上げることだ。

 共同受注のための団体には、例えば全国ソフトウェア協同組合連合会(JASPA)傘下の地域別の協同組合がある。1991年に設立されたJASPA傘下の首都圏ソフトウェア協同組合(METSA)では、METSAまたはMETSAに加盟する企業(組合員)が受注した案件情報を組合員同士で共有する。1社では受注できない場合、複数の組合員が共同で受注する。

 1989年に設立された首都圏コンピュータ事業者協同組合(MCEA)は、組合員を個人事業主に絞った共同受注団体。MCEAが受注した案件を組合員である複数の個人事業主に割り振る。「IT人材の派遣会社と似ているが、登録者が事業主である点が大きく違う」とMCEAの横尾良明理事長は話す。

 情報サービス産業協会(JISA)傘下の地域別情報サービス産業協会の一部も共同受注の形式をとることがある。大規模案件を協会が責任を持って受注し、実際の作業は会員企業が共同で担当する。

 METSAやMCEA、JISA傘下の協会などに所属するには通常、ひと月当たり数万円の会費が必要になる。

 ジョイント・ベンチャーを共同受注の窓口とする場合は、そのベンチャー企業が主契約者として受注する。実際の開発作業は、出資した複数の企業が担当する。複数社に仕事がわたる点は協同組合を窓口とする場合と同じだが、ジョイント・ベンチャーのほうがプロジェクトの運営をより自由にコントロールできる。その代わり、案件は自前で取る必要がある。

 ジョイント・ベンチャーによる受注は今後、官公庁の公募案件で普及が期待されている。国レベルの案件については2002年にジョイント・ベンチャーに入札資格が与えられたが、都道府県レベルでは宮城県や長崎県など一部に限られている。北海道IT推進協会の中村真規(まさき)会長は、「中小ソフトハウスの技術力を生かすために、自治体で積極的に導入してほしい」と主張する。

(矢口)