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海外の企業にソフトウエアの開発を委託すること。システム開発費が抑えられることが利点。委託先としては、人件費の安価なインドや中国のソフト開発業者が中心。

 私事で恐縮ですが、20代半ばの知人がインドの企業に転職しました。インド本国の勤務になるそうです。彼は、「これで、おれも40万ルピー・プレーヤーだ」と誇らしげに語ります。日本の感覚でいうと、40万ルピーの年収は1000万円に該当するそうです。1ルピーが3円程度ですから、日本と比べて、いかに人件費が低いかが分かります。

 こうした経済環境の格差を利用して、ソフトウエアの開発を海外の企業へ委託してコストを削減する取り組みが「オフショア開発」です。大手のソフト開発会社を中心に、開発作業を委託する動きが加速しています。なかでも、インドや中国などIT(情報技術)に関する技術水準が急速に上がっている国・地域が委託先として注目されています。

◆効果
期待ほど下がらない?

 オフショア開発のメリットは、なんといっても開発コストの削減です。ソフト開発において最大のコスト要因である人件費が国内よりも1ケタ安いのですから、総コストも格段に下がることが期待できます。

 ただし、課題もあります。最大の障壁は言語の問題です。委託側と受託側ともに、母国語だけではコミュニケーションが取れません。英語でやり取りするのが一般的です。

 プロジェクトを円滑に進めるためには、ITに精通していて、かつ英語が堪能であることが求められますが、委託側と受託側の双方で、こうした人材を十分に確保することは容易ではありません。このため、工程間で手戻りが発生したり、納期に遅れるといった事態が起こり、期待ほどコストを削減できないというケースが増えています。

 実際、コスト削減効果がそれほど大きくはないという調査結果も報告されています。米国の調査会社であるメタ・グループが今年1月に発表した報告によると、実際にオフショア開発を実施した企業では初年度のコスト削減効果は15~20%にとどまっているといいます。

◆事例
GEが委託企業育成

 インドにおけるオフショア開発の先駆者的な存在であるのが、米ゼネラル・エレクトリック(GE)グループです。GEは、インドのソフト開発大手であるTCO社など、複数の企業にシステムの開発を委託しています。

 GEでは、自社で開発した品質管理手法「シックスシグマ」を、ソフト開発にも適用しています。委託先の企業も、この基準に沿わなければならないため、ソフト開発の品質管理能力が向上しました。このことが、インドにおけるソフト開発会社の品質管理能力を向上させた一因であるとも言われています。

吉川 和宏 kyoshika@nikkeibp.co.jp