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製品企画から設計、生産、保守、回収までの全過程で製品情報を包括的に管理する手法。製品にかかわる部署や企業間で情報を共有することが前提。

 自動車メーカー各社が開発期間の短縮に血道を上げています。部品の共有化を進めたり、顧客の要望をいち早く設計・開発の現場へ伝えるような体制を作ろうとしています。日産自動車や三菱自動車のように、外資系メーカーが資本参加しているところでは、企業の壁を超えてプラットフォーム(車台)や部品の共通化を進めています。

 このような取り組みの背景には、設計や生産、販売などにかかわる情報を一元的に管理する「PLM(製品ライフサイクル管理)」の存在があります。

 1つの製品にかかわる部署やメーカーの間でデータを共有したり、マーケティング部門が収集した顧客ニーズを即座に設計・製造部門へ伝達するようなシステム基盤があるからこそ、設計や開発の作業を効率化できるのです。

◆効果
SCMを効率化する

 PLMの実体を一言で表せば「複数の部署や企業間で、製品に関する情報を共有する情報システム」ということになります。自動車メーカーの場合は、部品情報やCAD(コンピュータによる設計)の設計データを共有するPDM(製品データ管理)システムが中心的な役割を果たします。

 このほかにも、開発段階の部品の情報を取引先に公開するような調達システムも、PLMの取り組みの一環といえます。

 こうした社内外の情報共有の体制は、いずれも従来は人手を介して情報をやり取りしていた作業を自動化するものです。これによって、開発や生産の作業を迅速にしたり、在庫を削減させることが期待できます。SCM(サプライチェーン・マネジメント)に含まれる様々な作業を効率化できるのです。

 最近では、環境保全に対する投資や経費を管理する「環境会計」でも、PLMが重要な役割を果たしつつあります。環境会計では、部品の調達から完成品の廃棄までの製品ライフサイクル全体で環境への負荷を管理します。

 この際、環境に影響を与える情報に関して、部品から完成品までをひも付けて管理することが求められるからです。

◆事例
全社で商品鮮度を管理

 ソニーが昨年9月からグループ全体で取り組み始めた「商品鮮度管理プロジェクト」が、PLMの好例でしょう。このプロジェクトは、全世界に約80社ある販売会社の在庫を、滞留期間で分類し、「鮮度」が落ちている在庫を優先的に削減する取り組みです。

 「グローバル・ウイークリー・インフォメーション(GWI)」と名付けた情報システムが、エレクトロニクス製品の販売・在庫データをすべて一元管理します。イントラネットを通して、この情報を全社員が共有し、鮮度向上に努める体制です。

吉川 和宏 kyoshika@nikkeibp.co.jp