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インターネットや社内LANを使った遠隔教育システム。1990年代後半、米国を中心に導入が始まった。社員がいつでもどこでも学習できる点が特徴。

 米IBMやシスコシステムズ、英蘭ロイヤル・ダッチ・シェルといったグローバル企業を中心に、導入が進んでいます。当初「eラーニング」は語学やソフトウエアを学んだり、資格を習得するためのインターネット学習というイメージがありました。

 だが、ここ数年は企業の人材教育・研修などに使われようになってきました。食の安全や企業倫理などが問題視される中、社員に安全管理やコンプライアンス(法的遵守)を徹底させるために、eラーニングを導入する企業が増えています。

 特にグローバル企業の場合、世界各地で社員が働いており、集合研修にかかる経費は少なくありません。しかも、研修期間中はその社員の業務が滞るという問題がありました。

 eラーニングであれば、社員が(業務以外の)好きな時間に自分のレベルに応じて学ぶことができるので、研修コストが大幅に減り、業務に支障をきたすことがなくなります。

◆効果
コスト削減や人材の再配置

 例えば、IBMはeラーニングの導入によって、2001年には、3億4000万ドルのコスト削減効果がありました。日本IBMも、すでに研修の約4割をeラーニングで実施しており、2000年と2001年のコスト削減額はそれぞれ15億円、19億円でした。

 経費の削減にとどまらず、経営トップの方針や社員として身につけるべき知識などを瞬時に伝達するツールとしても有効です。

 米ドーセント社などが提供する最新のシステムは、専門知識について学習者がどの程度理解しているのかを精緻に管理できるようになっています。新しい事業をやる場合に、その分野で必要になる知識やスキルを身につけているのはどの社員かがたちどころに分かるので、人材の再配置にも使われています。人員削減する際、退職勧奨すべき人員のリスト作りにも役立っているようです。

◆事例
日立が32万人を対象

 日本の企業でも、導入の動きが活発です。野村総合研究所によれば、2001年には180億円にすぎなかった国内eラーニング市場は、2006年には約1000億円になるとしています。

 例えば日立製作所は、今年4月から導入しています。競争力の高い社員の育成・サポートを実現する狙いがあります。当面は日立本体の5万人の社員を対象にしていますが、2004年度からは日立グループに属する32万人からのアクセスを可能にします。

 2005年度までに全社教育に占めるeラーニングの比率を50%にする計画。これによって年間2億円程度の経費削減と、社員1人当たりの教育受講時間の倍増を目指しています。

多田和市 wtada@nikkeibp.co.jp