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団塊の世代の定年退職が始まると、長年使い続けてきた情報システムの保守や再構築に必要なノウハウが企業に残らないのではないか、という懸念を表す言葉。

 三重県の伊勢神宮は1300年もの間、20年ごとに建築物を建て替えています。

 なぜこのような制度が作られ守られてきたのでしょうか。宗教的な理由、建物の耐久性など様々な解釈があるのですが、有力と考えられる理由の1つに「建築技術の伝承」があります。前回の建て替えに携わったベテラン技術者が、次代の技術者とともに作業を行い、建築技術を伝える機会が20年ごとに必要だったという説です。

 こうした見方は、システム構築にかかわる関係者にもうなずける部分があるのではないでしょうか。

 「2007年問題」とは、技術知識やノウハウの引き継ぎが、情報システム部門で円滑に行われていないとの懸念を背景に生まれた言葉です。

◆課題
ベテランが一気に退職

 2007年は、日本の高度経済成長をけん引してきた1947~52年生まれの「団塊の世代」の定年退職が始まる年です。ところが、企業によっては、こうしたベテランが1980年代に構築した基幹システムを使い続けています。

 団塊の世代の退職後も、これらの情報システムを運営管理できるのか、あるいは設計仕様を引き継いで再構築するプロジェクトが可能なのかといったことに、企業は注意を向ける必要があります。

 この問題が大きくなりそうなのは、少人数のベテラン技術者が主体になって、20年以上も前に作ったソフトを管理し続けているような企業です。

 「外部の業者に保守を任せておけば問題ない」という考え方もありますが、果たしてそうでしょうか。外部の業者でもベテラン技術者が退職するのは同様です。昔の基本ソフトやプログラミング言語を熟知した技術者が減少するにつれ、技術レベルが低下して、不具合が生じやすくなる可能性も慎重に考慮すべきです。

◆事例
退職前に再構築を

 理想的な対処は、ベテラン技術者が退職するまでに、古いシステムを再構築するプロジェクトを立ち上げ、次代の技術者にプロジェクト管理の実務や設計思想などを教えることです。

 建設機械製造を手がける中堅企業、石川島建機は、2001~02年にかけてERP(基幹業務)パッケージを用いて会計や生産管理、販売物流管理のシステムを再構築しました。棚卸し資産の圧縮や売掛金回収期間の短縮が主な狙いです。

 同社のシステム部門の責任者が、「自分の退職前に再構築をしないとシステムを作れる人材がいなくなるのではないか」と危機感を抱いたことが、プロジェクトを始める動機の1つでした。

井上健太郎 kinoue@nikkeibp.co.jp