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大量に蓄積したデータの中から、ビジネスに有用なルールや相関関係を発見する分析手法。対象顧客や推奨商品の絞り込みに活用すれば営業を強化できる。

モノが充足している現在、既存の商品よりも高機能であったり低価格であるなど、企業側が「良い」と思う商品を作るだけでは売れなくなっています。その商品に価値を認めてくれる顧客を探し出し、商品の魅力を集中的に訴求するといった販促活動が必要です。

 商品を買ってくれそうな顧客は誰かといった疑問を解決する手段の1つが、「データ・マイニング」です。データ・マイニングは、蓄積したデータの中から一定の法則性や相関関係を導き出す分析手法。販促企画の立案や、その対象顧客を絞り込むために導入する企業が増えてきました。

◆効果
仮説の立案を支援

 特に、クレジットカード会社が積極的に活用しています。カード会社は加盟店の商品を買ってもらうことで利益を上げるため、販促が収益に大きく影響します。それだけに、各社は顧客情報の分析に余念がありません。

 いかに、それぞれの顧客に適した商品や店舗を案内するか。会員の属性情報や利用履歴を分析して、カードの利用を促す企画を練ります。これまでに、ダイレクトメールのヒット率を大きく上げるといった成果が出ています。

 蓄積したデータ量が膨大であるほど、データ・マイニングは威力を発揮します。大手クレジットカード会社になると、数千万人にもおよぶ顧客情報を管理しているのです。

 データ量が少なければ、表計算ソフトを使って丹念にクロス集計を重ねるなどして、人手でも対応できました。しかし、データ量が膨大になると分析に十分な時間をかけられないために、有益な法則を見逃してしまうことも考えられます。

 データ・マイニングを活用すれば、統計的手法に基づいて自動的に分析結果を提示してくれます。例えば、ある高級な温泉旅館をよく利用する顧客は、「30歳代のOLで未婚」といった傾向を導けるのです。

◆事例
買い物かごを分析

 世界最大の小売業である米ウォルマート・ストアーズは、データ・マイニングを活用する企業として知られています。米国防総省に次ぐ約300テラバイトのデータを蓄積するといわれ、顧客の買い物かごの中身を分析する「マーケットバスケット分析」と呼ぶ手法を実践。どんな商品が一緒に買われているかを調べています。同時に買われる可能性の高い商品同士を近くの売り場に並べて購買を促すのです。

 ウォルマートの傘下に入った西友は、販売戦略と併せて、情報システムもウォルマートと同様のものを段階的に導入していく計画です。

相馬 隆宏 souma@nikkeibp.co.jp