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金融機関に対する複数の資金移動を合算・相殺して、移動件数を削減する情報システムや体制のこと。最近は、グループ企業内で実施する例が多い。

 ATM(現金自動受け払い機)から現金を引き出す際、土曜日の日中に手数料を徴収する銀行が出てきました。対抗措置として土曜日にはATMを利用しない、あるいは利用する回数を減らすために1度に引き出す金額を多くしたり、手数料を取らない銀行の口座残高を増やすようにしたといった方もいることでしょう。

 これと同じような考え方を企業の資金管理に当てはめたものが、「CMS(キャッシュ・マネジメント・システム)」です。複数の部署が同じ取引先に銀行を通じて支払う際に合算して手数料を削減したり、企業が保有する複数の銀行口座を一元管理して手数料の少ない資金移動手段を選択するといった取り組みがそうです。

 従来は、銀行が同様の機能を「CMS(キャッシュ・マネジメント・サービス)」として提供しており、これを利用するのが一般的でしたが、最近は自社でCMSを構築する例が増えています。

◆効果
余剰資金を有効活用

 CMSの基本機能は、資金プーリング機能、支払い・回収代行機能、債権・債務のネッティング(相殺)機能などです。

 こうした機能を利用する利点は、手数料や支払い事務の削減だけではありません。複数の口座に分散していた現金を一元管理できるので、余剰資金を有効活用することが可能になります。

 最近は、この点を評価してグループ企業全体でCMSに取り組む例が増えています。親会社にCMSの役割を担う情報システムを導入し、子会社は親会社に対して資金移動を指図する仕組みです。こうした形態では、子会社に対して親会社が銀行と同じ役割を果たすことになります。

 1990年代までは、自前でCMSを導入する企業は、売上高が数千億円から1兆円といった大企業に限られていましたが、最近は中堅の企業グループにも広がりつつあります。連結経営が重視されるようになったことが、CMSの導入を後押ししているのです。

◆事例
財務体質を改善

 グループ企業によるCMSの導入で先駆的な存在がキユーピーです。同社は、グループ企業が個別に取引していた銀行口座をすべて廃止し、グループ全体の口座を集約しました。対取引先、およびグループ企業間で資金を回収する際は、この口座を利用します。

 グループ各社には個別に借入金があり、金利を負担していました。しかし、口座管理をキユーピー本体に集約することで、借入金はなくなります。この結果、グループ各社が資金を調達しやすくなります。

吉川 和宏 kyoshika@nikkeibp.co.jp