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環境保全活動のコストや効果を定量的に把握するための手法。環境対策に取り組む企業や自治体の間で関心が高まっている。

 環境保護に関心を持つ一般消費者は、もはや珍しくありません。これに伴い、自社のイメージを向上するべく、環境保全活動に取り組む企業が増えています。

 とはいえ、環境保全活動は収益に直結しません。このため、過度に投資すると利益を圧迫します。環境保全活動の成果を金額に換算し、費用対効果を検証するための手法が「環境会計」です。

◆効果
成果を金額に換算

 環境会計では、環境保全活動に必要とした「環境保全コスト」と、その活動で得た「環境保全効果」および「環境保全対策に伴う経済効果」を算出します。

 環境保全コストは、排気ガスや排水を抑制するためのコストや、産業廃棄物のリサイクルにかかるコストなどを合計したものです。環境に配慮した商品の開発費用も、環境保全コストに含まれます。

 環境保全効果は、排気ガスや排水など環境に負荷を与える物質の発生をどの程度防止したかを示す数値です。当期における排気ガスや排水などの排出量を前期と比較し、差や比率の形で表します。

 環境保全対策に伴う経済効果は、環境保全活動の成果を金額に換算したものです。その根拠の確実さによって、実質的効果と推定的効果に分かれます。実質的効果は、電気料金や水道料金の削減費といった金額ベースで把握できるもの。推定的効果は、環境に負荷を与える物質の削減量にどの程度の価値があるかを一定の法則を基に金額化したものです。

 現在、環境保全対策に伴う経済効果を求める統一的な手法は存在しません。このため、実質的効果だけを計上する企業がある一方で、推定的効果を計上する企業も存在します。

◆事例
賠償費の予測値を活用

 例えば、東芝はカドミウム公害の賠償費を基に、排気ガスや排水の削減によってどの程度の価値を得たかを金額に換算しています。まず、排気ガスや排水などに含まれる化学物質を把握。次に、環境基本法における環境基準の数値や米国産業衛生専門家会議で定められた許容濃度を基に、化学物質をカドミウムと比較します。その後、化学物質ごとに賠償費の予測値を算出し、排気ガスや排水の削減によって得た価値を金額に置き換えています。

 企業だけでなく、一部の自治体も環境会計を導入しています。横須賀市は2000年から環境会計の公開を始めました。ゴミの焼却場から発生する大気汚染物質の低減や、再生コピー紙の購入による森林保護といった取り組みの成果を市民に対して数値で示しています。

長谷川 博 hhasegaw@nikkeibp.co.jp