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民間企業の経営手法を行政管理に積極的に取り入れ、効率化やサービス向上を実現しようとする手法。英国、ニュージーランド、米国などで広く試みられている。

 「お役所仕事」という言葉が象徴するように、行政の仕事はこれまで非効率で融通が利かないものととらえられていました。サービス提供者として独占的立場にあり競争がないこと、組織が階層的で硬直的であること、現場に与えられた権限が少ないことなどが原因でした。しかし、こうした状況は変わりつつあります。

 市場で他社と競争している民間企業は、コスト削減やサービス品質の向上、意思決定スピードや社員のやる気の向上のために様々な経営手法を編み出しています。こうした手法を行政管理にも導入して、業務の効率化や活性化を実現していこうという考え方が「NPM (New Public Management)」です。

 もともとは70~80年代、財政悪化に苦しんでいた英国の自治体に対してサッチャー政権が実施した行政改革の考え方が基本だとされています。その後、やはり財政がひっ迫していた米国やニュージーランドなどの自治体でも次々と取り組まれ、成果を上げています。

◆効果
権限委譲でサービス向上へ

 自治体の目標は、突き詰めれば住民のニーズに応える質の高いサービスをより迅速に、適正な原価で提供することで、民間企業とほとんど変わりません。しかしこれまでは、現場の職員が住民のニーズに応えようとしても、厳格な前例主義や規制の存在があり、現実に業務を変えるのは難しい場合がほとんどでした。

 NPMでは市場原理の導入(民間への委託や民営化などを含む)や、TQM(トータル・クオリティー・マネジメント)、権限委譲と組織のフラット化などによって改革を進めます。住民を「顧客」として扱い、「顧客満足」を目指すという発想がその背景にあります。実際にはトップダウンの改革だけでなく、権限委譲を進めることでボトムアップによる業務改革を奨励します。現場のモチベーションが上がれば結果としてサービス品質の向上やコストの削減が期待できるからです。

◆事例
静岡は総務事務を委託

 NPMを取り入れて行政改革に取り組んでいる自治体はすでにいくつかあります。例えば静岡県は、本庁の11部局の総務事務を総務事務センターに移管して集中処理し、さらに一部を人材派遣会社のパソナにアウトソーシングしています。これにより、コスト削減や職員の生産性向上を狙っています。

 福岡県は、ベストプラクティスやTQMの考え方を取り入れた業務改革運動「DNA運動」に取り組んでおり、コスト削減などの成果を上げています。

秋山 知子 takiyama@nikkeibp.co.jp