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自社の業務を外部の専門業者に委託すること。情報システムの開発・運用業務が中心だったが、最近は経理や物流といった業務を委託するケースが増えている。

 家電量販店のムラウチ(本社東京)は2001年12月、年末商戦の大事な時期に約8000万円の販売機会を逃しました。午後11時から午前2時の間に、ネット通販サイトに接続する顧客が殺到したためにサーバーの能力が要求に耐え切れず、サービスが停止してしまったのが原因です。

 この経験から、従来、自社で手がけていたシステムの開発・運用業務を、今年1月からは日立ソフトウェアエンジニアリングに委託しました。コストを削減すると同時に、売り上げの拡大によってネット通販の利益率は9倍になると見込んでいます。

 この例のように、自社の業務を外部の専門業者に委託することを「アウトソーシング」といいます。

◆効果
ノウハウを時間借り

 ネット通販サイトは24時間運用が当たり前。技術力の高いシステム業者に比べて自社の社員が運用する場合、急な障害対応に慣れていないうえ、費用もかかるケースが多いでしょう。アウトソーシングなら、専門の技術者が、24時間常時監視して障害対応に当たってくれます。「もちはもち屋」の言葉通り、低コストで確実なサービスを期待できます。

 最近では、インターネット経由でアプリケーション(応用ソフト)の機能だけを提供するASP(アプリケーション・サービス・プロバイダー)と呼ぶサービスも登場しています。自社でソフトやハードを購入する必要がないうえ、効果が予想を下回れば利用をやめることもできます。システムを導入してみたはいいが、現場での活用が進まず投資が無駄になるといったリスクを避けるのに有効です。

 コスト削減ばかりがメリットではありません。情報システム担当者を、企画や営業などの本業に配置転換すれば、人材の有効活用につながります。

 事業の「選択と集中」を進めたい企業にとって、アウトソーシングは格好の手段となりつつあります。

◆事例
物流改革の一手に

 ニチレイはこの4月から、システム開発から運用までを全面的にアウトソーシングすることを決めました。期間は10年間で契約額は約250億円です。委託先は日立製作所と合弁で設立する新会社。今後は、他の企業にもサービスを提供していく計画です。

 ディスカウント店「ロヂャース」を運営する北辰商事(本社東京)は、物流業務をアウトソーシングしました。2拠点ある物流センターの運営を、雪印アクセスと三友小網(本社東京)に委託したのです。物流費の圧縮などが寄与し、今年3月期の販売管理費は、物流改革前の2000年3月期に比べて16.5%減る見込みです。

相馬 隆宏 souma@nikkeibp.co.jp