販売や顧客などの情報を明細データのまま収めた大規模なデータベース・システム。大量のデータを基にした分析ができるため、マーケティングなどに活用すると効果的。
消費者の趣味やし好が細分化するなかにあっても、かゆいところに手が届くような商品を開発したり、効率的な販促を実施して売り上げを伸ばしている企業はあります。こうした企業に共通するのは、顧客や販売といった情報を詳細に集めて活用していることです。
経験や勘だけに頼るのではなく、事実に基づいて科学的に意思決定することが、いまや強い企業の条件になりつつあります。
わずかな傾向を見逃さないためにも、意思決定の基となるデータはできるだけ詳細であることが前提となります。その膨大なデータを蓄積するシステムが、「データ・ウエアハウス」です。
◆効果
生の情報を管理
データ・ウエアハウスは通常、販売情報などを、集計せずに取引1件ごとの明細データとして管理します。
一般的なデータベース・システムの場合、処理時間が長くなるのを懸念して、蓄積したデータを週や月単位にまとめたり、顧客をある程度分類して管理することも少なくありませんでした。
データ・ウエアハウスは、技術的にデータの参照だけに機能を絞り込むなど大量データの処理に特化した点が大きな特徴です。要約したがために埋もれてしまったデータの傾向も見えてきます。
例えば、累積購入金額が同じくらいの顧客がいた場合、時間軸に沿って細かく分析することによって、まだこの先もたくさん買ってくれそうな顧客なのか、あるいは離れていく顧客なのかを見極められます。
◆事例
現場への浸透が肝心
ただし、データ・ウエアハウスは情報の入れ物にすぎません。蓄積した情報から、新たな施策を立案できるかどうかが成功のカギになります。
人が考えつかないような傾向を見つけるのに有効なデータ・マイニング・ツールを活用したり、分析パターンのひな型を作って利用者が積極的に活用できる環境を作ることが欠かせません。
ダイヤモンドリースは、データ・ウエアハウスで営業を支援しています。会計やリース物件、顧客といった情報を管理し、営業担当者などのパソコン約500台で分析できるようにしました。しかもデータ分析のひな型を約300種類用意して、活用を促しています。
さらに、リース物件の期限切れが近い顧客や、追加の商談が一定期間生じていない顧客があることを警告する電子メールを、3カ月おきに自動送信する仕組みを用意。これによって、営業担当者が適切なタイミングで顧客に接触できるようになりました。