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1990年代に米国で開発された業績管理手法。顧客満足度といった中長期的な目標を財務と関連付けて設定することで、バランスのとれた投資や業績管理を実現する。

 「バランス・スコアカード(BSC)」は多面的な業績評価の視点を意識的に採り入れ、短期・中期・長期のバランスのとれた目標を実現するための業務管理手法です。そのために、財務目標と関連付けながら、「顧客の視点」「社内プロセスの視点」「従業員の学習・成長」といった財務面以外の目標を設定。それぞれの進ちょくを測る重要業績指標(KPI)を導入して、「戦略マップ」と呼ばれる1枚の図に作り、経営トップと執行部門の合意のよりどころとするのが骨子です。

◆効果
戦略目標を明確に

 BSCが米国で登場し、重視されてきた背景は、短期的な財務成果にとらわれすぎるあまり、従業員の成長といった中長期的な視点からの投資をないがしろにしてきたのではないかという反省があります。

 日本企業では、BSCが登場した当初は「これは日本企業に古くからある方針管理と同じだ」という冷めた反応がありました。特に製造業の生産部門は、品質改善など各種の方針管理が徹底しており、ことさらBSCを導入する必要はないという意見もありました。

 しかし、最近は方針管理の発展形として、BSCを前向きに評価する声が増えました。その第1の理由は、従来の方針管理が、財務目標との関連付けが明確でないために形がい化していたり、あれもこれもと改善課題の羅列になっているケースがあることに企業自身が気づいたためです。

 第2に、「売上高○%増、経常利益○%増」などと財務的な目標値を掲げた後に、どんな手を打っていくのかといった戦略と戦術の検討がきちんとできていないのではないかという反省があるためです。

◆事例
意思決定の物差し

 国内でBSC導入が進んだのは、ここ2~3年のことです。

 例えば、リコーは99年にBSCを導入。経営トップが財務を中心に中期的な目標を掲げたのち、執行役員が事業戦略と戦術をBSCの戦略マップに表してトップに提出します。

 リコーでは、BSCを自社流にアレンジして採り入れています。例えば、BSCの4つの管理目標に加えて、5つめに「環境の視点」を設定。自社が販売するトナーカートリッジの回収率や炭酸ガスの排出量といった目標管理を採り入れています。これによって、官公庁など環境問題に敏感な顧客へのブランド力強化につなげるのが狙いです。

 さらに2001年からは、本来は管理目標のすべてに書き込むKPIに対して、戦略との関連度が高い指標だけを執行役員がトップに申告すればよいという体制にしました。業績指標をたくさん羅列するあまりに、戦略の骨子がぼやけることを防ぐためです。

井上健太郎 kinoue@nikkeibp.co.jp