社員は経営戦略を支える資産と考えてスキルや業務活動の成果などを一元管理し、それを生かしながら透明性の高い評価や効果的な人材育成を行う人事管理手法。

 いまや日本企業の経営システムは、いたるところでほころびを見せています。年功序列に代表される人事制度はその1つ。実績主義に基づく人事評価制度の導入やリストラ、賃金カットなども当たり前のようになりました。

 そうしたなかで従業員1人当たりの残業時間は、IT(情報技術)の導入に伴う人員削減などにより増加。多くのサラリーマンは、「働けど働けど、給与の伸びは期待できず、いつ解雇されるかも分からない・・・」といった将来への漠とした不安感を抱えつつ、日々働いているわけです。

 経営者も楽ではありません。限られた人材と知恵を結集して、競争力を高めることが求められます。そこで急務となるのは社員のやる気を高める環境の整備です。そうしたなかで新しい人事管理手法である「HRM(ヒューマン・リソース・マネジメント)」への関心が高まっています。

◆効果
経営戦略に沿って適材適所を実現

 HRMの日本語訳は「人的資源管理」。この言葉通り、1人ひとりの社員を貴重な経営資源と見なし、経営戦略を達成するために適材適所の人材配置や人材育成を実現することが狙いです。

 人事情報システムといえばこれまで、給与計算や福利厚生の管理が中心でした。HRMに求められるのは、1人ひとりの社内異動履歴や保有資格などのスキルから、目標達成度や個人別の損益といった情報までをデータベースで管理する仕組みです。

 これによって成果が明確になり、活動に応じた評価を下しやすくなるのです。さらに社員のスキルを分析し、それぞれの職務に必要な研修を実施することで、効果的な人材育成につながります。こうした点から、HRMのためのシステムには、人事システムと基幹業務システム、研修やスキルの管理システムといったシステム間の連携が不可欠です。

◆事例
プロセスを可視化する

 給与計算だけにとどまらない人事情報システムを構築する企業は増えています。

 例えば大日本印刷は、2003年3月をメドにグループ企業75社の人事システムを統合し、3万3000人の異動履歴やスキル、資格情報などを一元管理する予定です。新規プロジェクトを立ち上げた際に、グループ全体で必要な人材を探し、適正な人材配置を実現することが狙いです。

 このほかTDKでは、営業担当者の詳細な活動目標と商談の進ちょくを共有するプロジェクト管理システムを人事評価に活用。これにより、販売実績といった数字だけではなく、活動のプロセスで業績を評価できるようにしました。

三田真美 mmita@nikkeibp.co.jp