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社員が抱える職場や家族、健康に関する悩みへの相談を受け付ける体制作りのこと。生産性の向上や優秀な人材の離職防止といった効果がある。

 このごろ、「欠勤が目立つ」「仕事に集中できていないようだ」といった部下や同僚が周りで目に付く。あるいは、自分自身が「よく眠れない」「部内の人間関係がスムーズにいかない」という方が読者のなかにもいるかもしれません。

 社会経済生産性本部(本部東京)のメンタル・ヘルス研究所によれば、最近3年間で社内の「心の病」が増えたと回答した企業が調査対象の約半数を占め、心の病による「1カ月以上の休業者」は58.5%の企業で存在しているそうです。

 しかし、こうした問題を抱えていても、企業だけではなかなか対処できません。

 そこで、医師や臨床心理士といった専門家を社内あるいは社外に置き、悩みを抱える社員の相談に応じたり、そうした悩みが原因で十分な能力を発揮できていない部下への対処法を管理職に指導する取り組みが「EAP(社員支援プログラム)」です。米国では、大手企業の約95%が導入しているといいます。

◆効果
生産性を上げ優秀な人材を定着化

 EAPの具体的な活動内容には、(1)社員の啓もう、(2)電話や電子メール、対面によるカウンセリング、(3)部下との接し方やストレス除去法の教育研修、(4)専門医への紹介などがあります。上司が問題意識のない社員を相談に行くように促したり、気軽に社員が相談できる体制作りまで実施する点が特徴です。

 EAPを導入すれば、社員の欠勤や医療費の削減につながります。さらに、社員の悩みを無くし快適に働ける職場作りをすることで、生産性を向上したり、優秀な人材の流出を阻止するといった効果も期待できます。

◆事例
費用対効果の見極めは困難

 EAPにかかるコストは、例えばEAPサービス事業者のジャパンEAPシステムズ(本社東京)の場合、社員が800人のケースで年間180万円から。ただし、生産性の向上や離職率の低下といった指標は、EAP導入との因果関係が把握しづらく、費用対効果の見極めが難しいといった課題があります。

 ファイザー製薬(本社東京)は昨年1月から、人事部が直接社員の相談に応じる「人事サポートライン」という相談窓口を開設しました。社員が抱える悩みの原因が仕事や職場にあると分かれば配置転換も必要になるとの判断から、このような体制を敷きました。プルデンシャル生命保険(同)は2000年10月から、支社も含めて一律に社員へ対応できるように、全国にネットワークを持つジャパンEAPシステムズのサービスを利用しています。

相馬 隆宏 souma@nikkeibp.co.jp