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直訳すると「災害からの復旧」。情報システムに障害が発生したときに、処理を継続するために代替システムやバックアップ・データを用意する運用体制を指す。

 昨年9月に米国で起こった同時多発テロを契機に、「ディザスタ・リカバリー」と呼ばれるシステム運用体制が注目を集めています。

 ディザスタ・リカバリーとは、システム障害に備えるための運用体制のことです。火災や水害などの災害によって引き起こされる大規模な障害を復旧するための運用体制のことで、通常は処理を代替するシステムを用意した体制を指します。

 様々な業務がIT(情報技術)に大きく依存するようになった現在、システムが停止することは企業活動が停滞することを意味します。このため、テロのような災害でも、システムの処理を継続できるような体制を築こうという機運が高まってきたのです。

◆効果
業務の停滞を防ぐ

 ディザスタ・リカバリーに対応したシステム構成では通常、コンピュータやデータを二重化し、物理的に離れた場所に設置します。クラスタリング(複数のコンピュータを連携させるシステム構成)やレプリケーション(データを複製する機能)といった技術を活用して、複数のシステムで同じ環境を作っておきます。

 日常の業務で使っているコンピュータに障害が発生して復旧できなくなった場合に、即座にもう1台のコンピュータが処理を引き継いで業務を継続するような運用方法になります。

 1台だけのコンピュータでは、どんなに復旧体制を強化しても、障害から回復するまでの時間は業務が止まってしまいます。数分といった短時間であれば、それほど大きな影響は出ませんが、ハードウエアの交換が必要だったり、すべてのデータが失われてしまった場合などでは回復までに数時間、場合によっては数日かかることもあります。これに対して、ディザスタ・リカバリーの環境ならば、業務の停滞時間をゼロに近づけることができます。

◆事例
東西にセンター設置

 ディザスタ・リカバリーの基本的な構成や技術は、何も目新しいものではありません。日本全国で業務を展開している大手銀行は、1980年代に構築した第3次オンライン・システムでディザスタ・リカバリーに対応しています。

 東日本と西日本のそれぞれにコンピュータ・センターを設置し、片方のシステムに障害が発生すると他方が処理を引き継ぐような仕組みです。

 ただし、みずほ銀行が4月に起こしたシステム障害事故からも分かる通り、ディザスタ・リカバリーの体制を整備すれば万全というわけではありません。障害の原因がソフトウエアのバグ(不具合)であると、処理を引き継いだシステムでも同じ状況に陥ってしまうからです。

吉川 和宏 kyoshika@nikkeibp.co.jp